過剰なパワハラ告発には反訴で企業防衛、その部下は弱い立場を利用してないか

【ビジネス考察】 部下からのパワハラの訴えは企業にとってリスクが大きい。ただ萎縮をするだけでなく、対抗できる力が企業には必要だ。パワハラの訴えがネットに出回れば、企業の社会的信用を棄損してしまう。このリスクを防ぐ為に勤務怠慢で法的に攻める方法がある。


あくまでも訴えられた場合に即、反訴する為の方法だ。反訴が敵えば、公式見解として企業は防御策を講じる事ができ、裁判所の判決を待つ時間を得れる。勝訴すれば、社会的信用の棄損は防げるだろう。


まずパワハラは報道現在で厚労省が定義の法制化を急いでいる。現段階では各裁判所の判断に因るが、要件は固まっている。それは三つ。「職場内での優位性」「業務の適正な範囲を超える」「精神的・身体的苦痛を与える」若しくは「職場環境を悪化させる」となる。パワハラの類型は六つ。身体的損害・精神的損害・人間関係からの切り離し・過大要求・過少要求・個の侵害。各事件の判例は「明るい職場応援団/厚労省」を参照されたい。


 企業側はパワハラで訴えた者に反訴する。反訴できる条件は幾度の指導を適正に行った場合だ。詰まり、通常的な業務の延長上で大きな声を出してしまったりした場合だ。手を出す等の不法行為は論外。


要件は以下の三つ。

  1. 部下が弱い立場を利用してる事
  2. 適正な支持の範囲内を超えている
  3. 上司の疲弊


類型としては人間関係の切り離し・過大要求・個の侵害が考えられる。

恐らく、部下がパワハラを訴える場合には上司の行動を争点にするだろう。その争点の妥当性を反訴で主張する。それは「致し方なくやってしまった」だ。だから何故、やってしまったかを分析する必要がある。


先ず雇用関係を結んでいるので、その者の義務を明確化する。その義務を部下が履行していない場合には民法第四百十五条「債務不履行による損害賠償請求」があり得る。企業は何に対して給与を支払っているかを明確化する。


次に要件の一は部下という弱い立場(職場内での優位性)を利用している点を強調。通常、部下に対して大きな声等の叱責があった場合は、一回のミスではないだろう。これは要件の二に係るもので、適正な指示の範囲を可視化、数値化する。その部下の勤務年数や役職であるならば、平均的に何回のミスならば、許容できるかを算出。メール等で記録しておく。要件の三は、大きな声であるならば、上司の方の精神が追い込まれている事もあるだろう。その上司の重責(ストレス)を企業として可視化する。


一回目からパワハラ的な指導をする上司はまともな企業には少ない。あくまでも、その部下が何度も同じ又は似た様なミスを幾度もするので、「やむなくパワハラ的になってしまった」という証拠を出せる様にしておく。部下は民法第六百四十四条「善管注意義務」を仕事に当然に負っているので、民法第七百九条「不法行為による損害賠償請求」も可能となるだろう。


指導・注意回数が同じ仕事で月に三回、十回、三十回以上の様に、回数によって部下の悪意性は高くなっていく。社会的な許容範囲を見定める。そして度重なる指導は上司の人件費が掛かっており、事業自体の進捗に支障を来たす。損害が発生している。無駄な指導時間という事だ。


そしてポイントは「人間には我慢の限界がある」という点。幾度も指導を試みたが、パワハラ的な指導を行ってしまった、という点を争点にすべきだろう。また部下の配属(仕事)の転換等も試みていれば、尚良いが、規模が小さい企業ならば転換不可の場合もある。この点も弁護士に主張を依頼したいものだ。勝訴となれば、ネット上の企業に対する風評被害に対して、損害賠償を請求し、成果を世に主張する事ができる。


この様に、現在の企業は防戦一方であるが、反訴という防衛策をアピールする事により、事前に過剰なパワハラ告発を防ぐ事ができる。国防でいうところの消極的防衛となる。企業への忠誠心が落ちている以上、残念ながら企業は性善説ではなく、性悪説で接した方がリスク マネジメントできるだろう。


記事:羽田野正法

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