中小・零細企業にとってのTPP

【ビジネス ニュース】 平成二十八年二月四日にニュージーランドにて、『環太平洋 戦略的経済連携 協定(TPP)』の協定文に日本を含む十二ヶ国が署名した。毎日新聞(写真引用)等の各社が報じた。TPPの経済圏は、世界のGDPの四割で日本からの輸出三割を占める程、巨大だ。対するは、中国と欧州による「一帯一路」構想。記事『平成二十八年の注目ポイント「主戦場は東南アジア」』にて触れた。


TPPは署名から2年以内に全12カ国が国内手続きを完了すれば、その60日後に発効する。2年後以降でも、12カ国の国内総生産(GDP)の85%以上を占める6カ国以上が手続きを終えれば、60日後に発効するが、その際は経済規模の大きい米国と日本の承認が不可欠となる。


本協定は、関税撤廃以外にも投資やサービス、知財、電子商取引、ビジネス関係者の一時的入国等の貿易投資のルールを構築する。経産省(大臣:幹雄)は中小企業を意識し、「TPPについて<更新版>」をPDF形式で公開。署名に合わせ、中小企業の未来を支援する「ミラサポ/中小企業庁」は、特集「我に続け、海外展開!(写真引用)」を公開し、七社の成功事例を掲載している。本協定は英文だが、一部が二月二日に和訳され「TPP政府対策本部/内閣官房」で案文を確認できる。



=解説=

 署名した十二ヶ国が各国会で法律を通した後に、本協定が発効する(効力を発する)。それは最短でも来春となる。特に米議会の承認が発効の絶対条件であり、オバマ大統領の任期中(来年一月まで)ないし新大統領の下で審議されるかが、着目点である。米・大統領の有力候補の二人である民主・クリントンと共和・トランプは、共に本協定への反対を表明している。


但し、発効となった際にはそのインパクトは世界に及ぶタメ、中小・零細企業は米議会と十ヶ国の議会を注視する必要がある。シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの四ヶ国は原TPPに調印・発効しているタメ、拡大交渉四ヶ国のオーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルー、カナダ、メキシコを意識する必要があるだろう。タイとフィリピンに関しては、発効後の参加も有り得る。


詰まり、十二ヶ国の関税撤廃率は九割五分以上なので、事実上の環太平洋がビジネスフィールドとなる。競合は締約国の中小企業だ。そして第一次、第二次産業よりも第三次産業がより多くの可能性を秘めいているだろう。政府は“新輸出大国”を図るが、重点項目にコンテンツ、サービス、技術や農林水産物、食品とインフラシステムの輸出を据える。

(了)

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