綾瀬はるかと土屋アンナがAFWでノミネート、北野武監督は映画界に辛辣発言

【芸能考察】 映画界が転換期を迎えている。定額制(サブスクリプション方式)の動画配信サービスの台頭だ。米Huluは昨年に日本の登録者数が百万人を突破し、在京六局のテレビコンテンツが視聴できる。同じく競合の米・NETFLIX(NFLX.OQ)は、ソフトバンク等と業務提携を行っている。当然に二社のサイト内には映画が数多ある。映画界を取り巻くビジネス環境の転換は、何を意味するだろうか。


平成二十六年十月二十五日に東京・六本木にて『北野武監督 第一回“SAMURAI”賞 受賞記念トークイベント/東京国際映画祭』が開催された。北野監督は、映画配給大手三社(東映・東宝・松竹)を名指しし持論を語った。今迄の映画界は、この大手三社の寡占状態だったと云える。然しながらユーザの多様性により、KADOKAWAや日活が一部で貢献している。所謂、大手が手掛けない類の作品を映画やDVDで提供し人気を得ている。Vシネマも兆しが見えてきた。彼らならではタッチ、キャスティングがじわりとレイトショーを飾る。



<ガオ・ユアンユアンが審査員に>

 アジアに目を向けると二十八年三月十七日に、アジア全域版アカデミー賞『第十回 アジア・フィルム・アワード(AFA)』が中国・マカオで開催される。アジア三十二ヶ国・地域の千六百本の映画から九ヶ国・地域の三十六作品で七十七をノミネートしたコトを、AFWが記者会見で伝えた。日本からは作品賞候補として橋口亮輔 監督の「恋人たち(二〇一五)/松竹ブロードキャスティング、アーク・フィルムズ」が選出された他、十八がノミネート。本年の審査員には、中国で絶大な人気を誇る女優・モデルの高圓圓(ガオ・ユアンユアン)らが務める。高をトヨタやユニクロ等が中国CMで起用した。


ノミネートされた日本人俳優勢をみる。永瀬正敏(丙午)が「あん(二〇一五)/エレファントハウス」で、同作は『第六十八回 カンヌ国際映画祭』でオープニング上映された。綾瀬はるか(乙丑)が「海街diary(二〇一五)/東宝、ギャガ」で、同作は先の映画祭にてコンペティション部門に出品された。受賞はならず。浅野忠信(癸丑)が「岸辺の旅(二〇一五)/ショウゲート」で、W主演は深津絵里(癸丑)と監督は黒沢清(乙未)が手掛け、先の映画祭にて「ある視点」部門の監督賞を受賞した。黒沢監督は、元AKB48の前田敦子(辛未)が主演となった「Seventh Code(二〇一四)/日活」でも「第八回 ローマ映画祭」の最優秀監督賞を受賞した。最後は土屋アンナ(甲子)が「GONIN サーガ(二〇一五)/KADOKAWA、ポニーキャニオン」で、同作は「第三十四回 バンクーバー国際映画祭」の招待作品となった。



<映画・ドラマも実力主義の時代へ>

 AFWは映画人にとって重要なアワードとなる。今後、世界市場を牽引するアジア各国より注目を浴びる機会は、俳優・女優の歴史的なターニングポイントになっていくだろう。今回は、日本を始め中国・香港・台湾・韓国・インド・フィリピン・タイ・フランスがノミネートされた九ヶ国・地域だ。冒頭に触れた、ネット動画配信サイトや大手三社以外の配給会社にチャンスが廻ってきたと云えよう。HuluとNETFLIXは既に独自ドラマや映画を製作している。ポイントは「本来の映画に戻ってくる」コトであろう。


商業映画と揶揄され、日本映画の品質が下がった。売れているとされる俳優・女優の演技力も他国と比較すれば懐疑的だ。然しながら、今回ノミネートされた日本人の永瀬、綾瀬、浅野、土屋は確からしい。自信もって報道できる内容だ。残念ながら、民放が全てではない。無念ながら大手三社が全てではない。これからの五十年は、役者や監督等を含む映画人が実力主義になる。評価はアジアと世界がする。本気を出せるトキが来たのだ。国内では『東京国際映画祭』が新人系監督作品を集めている「日本映画スプラッシュ部門」がある。エントリ詳細は四月下旬に公式サイトで発表される。

記者:金剛×撮影:岡本

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