改正『水道法』成立、施設運営を民間開放へ

【社会報道】 閣法四十八号『水道法の一部を改正する法律案』は、平成三十年十二月五日に臨時会(一九六国会)にて参院で、六日に衆院で可決して成立した。賛成会派は自由民主党、公明党、日本維新の会、希望の党と未来日本の五派。反対会派は立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、無所属の会、日本共産党、社会民主党・市民連合と自由党の六派。


施行は公布日から一年以内。

但し、改正法の第十九条第二項、第二十二条の三は、施行日から三年以内は適用しない。政府は、施行後五年を目途に、必要時には当該規定について検討を加え、所要の措置を講ずる。



提出理由は、人口減少に伴う水の需要の減少と水道施設の老朽化等に対応し、水道の基盤の強化を図る為。都道府県による水道基盤強化計画の策定、水道事業者等による水道施設台帳の作成、許可制の導入(地方公共団体である水道事業者等が水道施設運営等事業に係る公共施設等運営権を設定する場合)と指定給水装置工事事業者の指定に係る更新制の導入等の措置を講ずる必要がある、とした。



『水道法』自体は昭和三十二年に成立。水道の計画整備及び事業の保護育成から基盤強化に改め、疲弊する自治体経済を補完すべく、水道事業の所有は自治体のまま、施設の運営(設備の更新、給水利益)を民間に開放する。運営に関する外資参入等は時の政府が決める。



国が水道の基盤強化に関する施策を策定し、都道府県・市町村・水道事業者等に必要な技術的と財政的援助を行う様に努める義務を負う。都道府県は、広域的な水道事業者等との連携等の推進と基盤強化に関する施策を策定し、実施する様に努める義務を負う。市町村も、同じ義務を負う。

水道事業者等は、事業を適正且つ能率的に運営し、事業の基盤強化に努める義務を負う。


また都道府県は、市町村の区域を超えた広域的な水道事業者等との連携等推進に関し、必要な協議を「広域的連携等推進協議会」を組織する事ができる。協議会は都道府県、市町村、水道用水供給事業者、識者等で構成。協議会で調った事項は、協議結果を尊重しなければならない。



地方公共団体以外の水道事業者(給水人口が政令基準超に限定)の許可申請時には、予め、事業の給水区域を市町村に協議しなければならない。水道事業者は維持・修繕、長期的な観点からの水道施設の計画的更新、水道施設の更新費用と事業の収支見通しを公表する様に努める義務を負う。水道施設運営権には厚労大臣の許可が必要。



許可申請には、申請書(以下の事項)に水道施設運営等事業実施計画書(以下の事項)、その他厚労省令で定める書類(図面を含む)を添えて、厚労大臣に提出する。

  1. 主たる事務所の所在地、名称、代表者
  2. 水道施設運営権を設定しようとする選定事業者の主たる事務所の所在地、名称、代表者
  3. 選定事業者の水道事務所の所在地


  1. 水道施設の名称、立地
  2. 水道施設運営等事業の内容
  3. 水道施設運営権の存続期間
  4. 水道施設運営等事業の開始の予定年月日
  5. 水道事業者が、水道施設運営等事業の適正を期する為に講ずる措置
  6. 災害、その他非常時における水道事業の継続の為の措置
  7. 水道施設運営等事業の継続困難時における措置
  8. 選定事業者の経常収支の概算
  9. 選定事業者の収入として収受する水道施設の利用料金
  10. その他厚労省令で定める事項



水道施設運営権者は、「水道施設運営等 事業技術管理者」を一人を置かなければならない。運営権者は、当然に給水契約の利益を享受する。但し、対象となる水道施設の利用料金の支払請求権に限定。施設運営権の取消し等の要求として、厚労大臣は、施設運営権者が同法や命令規定に違反した場合に、地方公共団体に対して処分を為すべき事を求める事ができる。指定の更新は五年毎。

(了)

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