上場企業は配当増、だが日GDPと米BHCには警戒

【ビジネス ニュース】 平成二十八年二月十七日に日経は記事『配当3年連続で最高 上場企業15年度、株主還元を重視』を配信し、上場企業の配当総額が十兆円を超えたコトを報じた。ポイントとして、業績の下方修正を行ったにも関わらず配当を維持、増額した点だ。当該記事は配当に関する背景は、政府の「企業統治(コーポレートガバナンス)改革」と記す。みずほ総合研究所が昨年八月に公開したリポート「コーポレートガバナンス改革と金融資本市場の3つの潮流(画像引用)」が七十五頁に亘り、同改革を説明している。東証等の調査に因れば、個人投資家は十兆円強の配当総額の内、三兆円程の現金を手にしたと当該記事は締める。


十五日には記事「GDP10─12月期は年率-1.4%、家計部門振るわず予測以上の減速/ロイター」等で内閣府が発表した名目と実質の国内総生産(GDP)が、六ヶ月振りにマイナスを付けたと報じた。一番のマイナス原因は“民間最終支出”で、唯一プラスに寄与したのは“設備投資”であった。同日に記事「米国の為替相場操作国制裁法案近く発効…韓日中相手に圧迫強化か/中央日報」が配信され、為替と貿易上で大きな影響を与える恐れのある米国の牽制法が発効寸前である旨を報じた。米修正法案「Bennet Hatch Carper(BHC)」は、米貿易に対し黒字が多い日本・中国・韓国・台湾等を想定している。




=解説=

 政府の後押しもあり、個人投資家(エンジェル)を意識した配当政策が奏功している。中小企業であれば、貸借対照表(B/S)の資産の部「投資有価証券」に厚みを増す理由が、ここ三年で続いている。個人ビジネスマンも中長期の株式保有が、資産運用の重要な選択肢である事実を前半のニュースは証明した。日銀のマイナス金利政策の効果は徐々に拡がっている。銀行の預金は当座程度でしか意味を為さないが、住宅ローンの金利ゼロ等は恩恵となる。


然し、後半二本のニュースには警戒を要すだろう。GDPのマイナスが続けば、配当政策に影響を与える。年始よりの株安円高が六月まで続く様であれば、株式保有の割合を再考した方が良く、衆院選と参院選後の市場にも注意を払うべきだ。また米BHC法による現実的な制裁可能性は日韓においては低いと見做せる。但し、中国に対しては異なる。中国が仕掛ければ米国がBHC法で報復し、一時的に市場の安定性が揺らぐ。日本の貿易(輸入で稼ぐ企業群)に対しても牽制できる。経済全体と各企業の決算短信の連動性に耳目を属されたい。

(了)

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