【経済報道】 日本の財界を代表する経済団体が年頭に当たり、所感を公表した。
日本経済団体連合会(会長:中西宏明)は『「Society 5.0 for SDGs」の実現に向けて』。昨年を振返り、「デジタルテクノロジーは経済のみならず社会の基盤を大きく変える不確実な世界に入ったといえる。」と断言するが、IoT・AI活用にもって創造性を発揮して新しい未来社会を創造できると信じる。経団連は本提言を磨き、日本の経済社会の変革を主導する構え。本年は成長戦略の強化、構造改革の推進と経済外交の展開を三本柱とする。
経済同友会(代表幹事:小林喜光)は『過去の延長線上から脱する一年に』。日経平均がニ万円を割った点を加えて「現下の世界情勢を俯瞰すれば、経済の先行きを楽観できる状況ではない。」と慎重だ。年頭見解では「国際的な枠組みが機能不全に陥る危険性」「国民が持つべき健全な危機感」「過去の延長線上から脱すべき四つの課題」の三つに分けた。
一つの危険性では、「リアルとバーチャル」「付加価値と効用」「個と集団」の本質的変化を挙げる。非常に重要な三関係だ。ニつの危機感では、「日本はあまりに危機感が欠如している。」と内閣府のデータを基に国民の満足度に対して警鐘を鳴らす。日本と米中とのGDPの較差や豊かさ、労働生産性等を列挙。行政が遅滞するIT化も挙げた。イスラエルを例に「ビジネスで成功する為の『大胆さ・ず太さ』、若くガッツある国の源にある教育を強く感じた。」と論ず。
三つの四課題は、「若者に日本の未来を語りかけ、短期的思考の政治から脱する」「デジタル化で紙文化・押印文化や割拠主義の行政から脱する」「再びブロック経済化・新たな冷戦化するリスクから脱する」「経営者の心の内なる岩盤を打ち破り、低収益性の経営から脱する」。政治に関しては、「次の選挙に当選する事が目的化していると思わざるを得ない政治行動も散見される。高齢化に伴うシルバー民主主義を意識した政治が、世代間の不公平の是正を一層困難なものにし、経済社会の活力を殺いできたことは否めない。」と的を射る。若者の投票率向上を企業や教育機関、行政等に最大限の配慮と協力を願った。ネット投票も含み、政治への教育を重視する。再ブロック経済では第二次大戦の原因となった点より現況を警戒している。
そして経営者に「ココロの時代の新たな付加価値を創出する経営」を牽引しなければならない、とした。
日本商工会議所(会頭:三村明夫)は四日までに所感を発表しなかった。
新経済連盟(代表理事:三木谷浩史)は『年頭所感』。最も若い新経連は七年目。開催するビジネス サミットに手応えを感じ、本年に明治維新、戦後に続く「第三の開国」を活動テーマに掲げる。世界時価総額ランキングの上位に日本勢が不在な原因として、産業構造の未転換を挙げた。現行の規制をイノベーションを阻害する要因である可能性に触れ、事前から事後への規制転換を欲する。
本年の活動の柱は三事業チーム。「デジタルシフトに対応した経済のグランドデザインを描く『グランドデザイン』」「時価総額一兆円企業の集まりを目指す『イノベーション促進』」「ダイバーシティの実現と労働力人口を確保する『移民・共生政策』」だ。
グランドデザインでは、同等条件下の競争等。イノベ促進では、法人税・企業会計改革等。移民・共生政策では、『入管法』改正等をもって政府へ提言していく。
企業がルールを創っていく時代と据え、新経連は時代を先導する役割を果たしていきたい。
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