【社会報道】 平成三十一年二月十日から横浜美術館を運営する横浜市芸術文化振興財団(理事長:近藤誠一)は、横浜トリエンナーレ組織委員会(代表:林文子)と共に『美術館と国際展を巡る連続講座』を三回に亘って開講する。同委は横浜で三年に一度、現代アートの国際展を開催している。
本年で会館三十周年を迎える横浜美術館は開館以来、展覧会、アトリエと美術情報センタを基幹事業に据えつつ、時代に合わせて様々な新規事業を立ち上げ、充実を図ってきた。二十三年からは同委の大型国際展の主会場としても関わる。今回の講座では、国際展をきっかけに拡大しつつある美術館の可能性と課題について「展示/鑑賞」「キュレ―ション」「建築」をテーマに各分野の専門家を招き検証する。
参加費は無料。定員は各回八十名(事前申込、先着順)。会場は横浜美術館「円形フォーラム」。
第一回は「美術館という箱はオルタナティヴな劇場になりうるか?」で、講師が演劇作家・ 小説家・チェルフィッチュ主宰の岡田利規。美術館は元々、美術作品を収集・研究・展示する為の専門施設。 現在、その機能は多様化して美術表現に限定される事なく、演劇やダンス、音楽等の様々な表現を発信する場となってきている。一方、劇場もまた、表現の多様化と共に劇場以外の場所としての広がりをみせる。美術館とは、そもそも如何様な空間なのか、観客との関係性も含めて表現者が期待する美術館像を話す。
第二回は二十日の「国際展をキュレーションすること」で、講師がジーベシュ・バグチとモニカ・ナルラ。アーティスト集団「ラクス・メディア・コレクティヴ」のメンバで同委のディレクタも務める。国際展のキュレーションが美術館等の既存制度を批評する取組みとして機能する場合のキュレーションの有効性等、国際展のキュレーションに取組む二名が国際展のキュレーションについて話す。日英翻訳あり。
第三回は三月三日の「美術館という建築物と展覧会の関係」で、講師が「横浜国立大」大学院の藤原徹平 准教授と「京都市立芸大」の彫刻専攻専任講師の金氏徹平。「ヨコハマトリエンナーレ二〇一七」の空間設計に携わった准教授と横浜美術館で個展開催の経験のある美術家の金氏に展覧会と建築の関係について、またアーティストがみる美術館建築の機能性や可能性について、実践を踏まえて話す。
故・丹下健三の設計による横浜美術館は、横浜市制百周年及び開港百三十周年を記念して開催された「横浜博覧会」のパビリオンの一つだった。八階建ての建築は、半円柱が目を引く中心部を基点に展示室、右端棟にはアトリエ、左端棟には美術情報センタを配置。美術館の理念である「みる」「つくる」「まなぶ」を建物が象徴する。
写真提供:㈶横浜市芸術文化振興財団
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