不正統計問題は日本の根幹を揺るがす次世代への大負債

【政治論説】 立法府の常会で平成三十一年二月四日にGDPの嵩上げに関する疑義が挙がった。不正統計が発覚した「勤労統計/厚労省」も『統計法』に定める五十六本の重要な日本の基幹統計だが、GDP(国民経済計算/内閣府)は別格だ。疑義の箇所は、GDPの国際基準適用による「その他」の分類。数値が不自然と野党に指摘された。


これは「モリカケ問題」とは次元が異なる。タブロイド紙が「統計不正国会」と銘打ったが、統計法違反の疑いがある(一月十六日、菅義偉 官房長官)勤労統計の様に万一、GDPにも組織的な操作があったとなれば、日本の国際的信用・信頼は堕ちる。政府は直ちに今回の疑義を払拭しなければならない。今までの様に曖昧な受け答えでは、流石に先進国が納得すると思えない。


国際的な信用・信頼が失墜してしまえば、末三代に亘って日本人は責めを覚悟しなければならない。経済評論家の上念司が「習近平が隠す本当は世界三位の中国経済」で指し示す様に、中国の国家統計は信用・信頼に値しない。因って、中国は先進国(G7)入りが当面厳しい。GDPが操作されるという事は“先進国堕ち”を意味する。


現下は第四革命中だ。それはビックデータを基にAIやロボが生産性の拡大を促してくれる。だがビックデータ、詰まりは統計を不正に操作しているのであれば、幾らAIやロボが優秀であろうとも、間違った解を出力してしまう。第四革命の世界では最も致命的な行為が、不正統計となる。


第四革命に入ったばかりのせいか、政治家や役人、ビジネスの取締役達も統計を軽んじている点をまま見受ける。ネットが世界を走った第三革命を忘れてしまったのであろうか。この時にITをきちんと学ばなかったので、現在のクラウドやセキュリティ等を「知らない」「扱えない」者が未だに多い事を。作家の橘玲は「もっと言ってはいけない」にて、「表計算ソフトでグラフをつくり、そのデータを読み取ることのできる成人は二割しかいない」とPIAAC/OECDのデータから警鐘を鳴らしている。第四革命が進めば、その程度のスキルでは現況の求人像とは大きく異なる。


AI・ロボばかりに目がいっている様だが、根幹は統計なのだ。大臣は現下における統計の意味を知り、基本的なポイントのレクを受けるべきだろう。ある企業が粉飾決算をして、今の常会での態度を取締役がしてしまったら、その企業の未来は無いだろう。この問題は国防に匹敵ないし凌駕する、国そのものとしての問題である。


統計がまともにできない国のレッテルを張られて、次の世代に託すのだけは避けて欲しい。そして斯様な疑義が出てこない様に役所を躾けて欲しい。統計に関する疑義は、日本の恥である。

(了)

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