デフレに備え、若手・中堅の経営者は横の連携を

【ビジネス考察】 内閣府(総理:安倍晋三)は、平成三十一年三月七日に『景気動向指数(一月・速報値)』を発表。三ヶ月連続で悪化し、基調判断を四ヶ月振りに下方修正した。


アベノミクスはデフレ脱却と富の拡大を目指し、日銀(総裁:黒田東彦)と連携して三本の矢(金融政策・財政政策・成長戦略)を放ち、効果を株価で証明した。二十四年の第二次・安倍政権の発足時に「日経二二五」は一万円程度であったが、報道現在は二万一千円と倍になっている。「世界の家計金融資産に関する調査/BCG」等の各種民間調査で証明されている通り、富裕世帯数や総資産額(富)は増加した。


間違いなく、安倍政権の政策が奏功した結果だ。だが一方で富の較差も開いている。富裕層以上に下の層の所得・貯蓄が上昇していないからだ。ともすれば下降している。成長戦略が道半ばの中、二十七年には新三本の矢(強い経済・子育て支援・社会保障)を放った。待機児童の対策や全世代型の社会保障の転換は今も尚、実行中である。強い経済のみが取り残された。


左派系の新聞等の媒体はアベノミクスの失敗を主張するが、各種データにより、否定できる。問題は日本の構造的な問題と民間にある。この分野において如何なる政権であろうが、メスを入れにくい。詰まりは行政の限界である。



<使わずに貯め込む高齢者が主な悪因>

 まず構造的な問題は少子高齢化である。先進国を含む合計特殊出生率の推移(上図)をみれば、一目瞭然で、世界一位の経済力を誇る米国と五位の英国は上位のグループに属しており、四位のドイツも三位の日本よりは下位グループながらも上だ。世界の高齢化率は昨年時の「The World Bank」によると日本が一位で、イタリア、ポルトガル、ドイツの順。英国は二十四位で、米国は三十七位だ。


経済において米国と比較する事自体が可笑しい。国内の人口構造がまるで違う。より消費を行う若者を含む若手は減り、より消費を控える高齢者は増え続けている。日本は既にデフレになる様な構造なのだ。それを安倍政権は金融と財政の政策で「喰い止めていた」という表現が正しいであろう。子どもが減り、高齢者が増える以上、デフレは根本的に脱却できない。子どもが増え、高齢者が減る以外にはデフレは根本的に脱却できない。


そこで子育て支援だが、行政は人権の問題上、出産を強制できない。消費を担う若手や中堅の小遣いのデータをみれば分かる通り、強い経済には程遠い。よって人生百年時代で高齢者にも可処分所得を増やして貰い、社会保障を薄くしたい。当然に強制はできない。日銀が本年三月に発表した「資金循環統計(速報)」によれば、個人金融資産の内、現金・預金は最高額となる九百八十四兆円を記録。高齢者は消費ではなく貯蓄性向を高めて続けている。


次に成長戦略のとん挫である。これは主に民間の投資を喚起するものであったが、まるで別の方向に大企業は走ってしまった。財務省が昨年に発表した「法人企業統計」によれば、大企業の内部留保は四百二十五兆円超と、第二次・安倍政権の発足時より一.ニ八倍に増えている。このトレンドは今後も変わらない。経団連をはじめとする財界は、成長戦略に形だけ乗り、実質は金を貯め込み続けている。


GDPの内、総じて八割を占める「民間 最終消費支出」と「民間 企業設備投資」の主体である高齢者と大企業が“貯め込む”を続けている。一重に老害であろう。行政は支出・投資を強制できない。



高齢者に頼らない経済圏の想像を

 但し、若手・中堅が高齢者や大企業に汲みせず、自身達で新経連の様に経済圏を構築すれば、話は別だ。ビジネスにおける経営戦略は戦争戦略から派生している。競争戦略で勝たねば、市場から淘汰されるもの。ならば若手・中堅で徒党を組めば、AI・ロボの第四革命下において希望ある経済成長が可能となる。高齢者達だけで経済成長は望めない。他力本願だったのではないだろうか。

そして自身達の経済に寄与する政治も創造した方が良いだろう。


若手・中堅同士がいがみ合って、漁夫の利で得するのは誰か。高齢者達とは別経済を創る事が日本において肝要である。経済成長しない高齢者達を後押ししているのが、現状では若手・中堅ではないだろうか。


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