伊・留学生が日・英・伊・仏の四言語で武士道をプレゼン|LMP Youth TOKYO

【社会報道】 平成三十一年三月十日と十三日に都内にて多言語教育を言語交流研究所(代表理事:鈴木堅史)が運営するヒッポファミリークラブは、若者による多言語プレゼンテーション大会である第六回『LMP Youth TOKYO』と教育シンポジウム『グローバル社会における多言語の可能性』を開催した。同クラブは多言語教育を提唱。

二つのイベントの目的は言葉の自然習得や多言語教育の最新事情、グローバル人材が育つ環境等についての理解を深める事。

前者では、東京ビッグサイトの国際会議場で十六歳から二十五歳の若者三十人が三つ以上の言語を使って社会へメッセージを発信。今回は動画投稿による予選の結果、日本・韓国・米国・モンゴル・中国・イタリア・メキシコの七ヶ国から高校生が十六人、大学生・社会人は十四人が登壇した。自らの言語体験や留学・国際交流を通じた多様な価値観への気づきや異文化を受け入れる感覚等につき、自分自身の言葉で一千人の聴衆に語りかけた。


高校生部門の金賞は、紋付き袴姿で日・英・伊・仏語を使ってプレゼンした都内の私立高校に通うイタリア人留学生のアントニオ・ピロッディ(写真最上)。タイトルは「Evolving inside道」。ピロッディは武士道について書かれた宮本武蔵の書を読み、日本に憧れて留学を果たした経緯や日本の食・着物等の文化に積極的に親しみ、学校の部活で将棋・剣道・茶道に挑戦している旨を紹介。「日本人にあって自分に足りないものはなんだろう」という疑問を呈し、マスクやお辞儀といった日本人の日常習慣より、他人を尊重するという日本人の心底にある道徳心が「武士道」に通じるものであると帰結させた。そして、その道に従う事が自分自身をより成長させるのだと伝えた。


 後者では、言葉の習得や外国語教育、多言語活動の取組みについて各分野の有識者や専門家が講演を行った。基調講演は、米・MITのスザンヌ・フリン教授(写真上)による「人間の言語能力は無限」。人間の言語や脳、多言語習得に関して解明されている事と誤解の十五項目を発表した。人間の言語は基本的に一つである事、即ち日本語や英語、方言といった幾つかの言葉があっても、核となる部分において同じ基本的性質を共有しているという点を強調。また、言語習得の臨界期説(ある年齢までは新しい言語を習得できるが、それ以降はできないという説)は誤りである点、習得に掛かる時間は年齢に応じて変わるが、人は年齢に関係なく新しい言語を習得できる点を紹介した。

よく聞かれる「同時に複数の言語を習得しようとすると混乱する」という考え方が誤り、多言語使用が人間の知能(知性)にとって自然な状態である、といった内容を語った。


写真:㈳言語交流研究所

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