前田敦子がウズベキスタンの観光大使に|映画『旅のおわり世界のはじまり』

【芸能報道】 平成三十一年四月二十三日に東京・代官山にて東京テアトル(代取:太田和宏)は、映画『旅のおわり世界のはじまり』の公開を記念してイベントを開催。主演女優を務めた前田敦子(辛未)がウズベキスタン共和国(統領:シャヴカト・ミルズィヤエフ)の観光大使に就任した。ガイラト・ファジーロフ駐日大使も出席した。


本作は日本とウズベキスタンの初の合作となる。監督は黒沢清(乙未)。映画「Seventh Code(二〇一四)」「散歩する侵略者(二〇一七)」に続き、敦子を起用するのは三度目。脚本の執筆も行った。サブ プロット等は一切明かさずにTVレポータの主人公一人だけを描く。視点を限定している点がポイント。小説等で採用される技法を用いている。敦子の起用は直感でプロット段階からイメージしていた。脇を固めるTVクルーは加瀬亮(甲寅)、染谷将太(壬申)、柄本時生(己巳)。


 歌い手を夢見るリポータ役の敦子を観光大使に起用理由は、同国においても著名な点。元・外務副大臣を大使が務めた際に自国の学生達にヒアリングし、日本のポップカルチャを好んでおり、敦子の名が挙がっていた。挨拶で日本に関しては共通点があると伝えた。それは「おもてなし」。十四世紀に勃興したティムール朝が有名だろう。モンゴル帝国から継承した政権は、帝国の半分の領土に迫った。美しい自然と歴史的建造物に併せて、ウズベキスタンの国民の特徴が「お客様へのおもてなし」という。


ウズベキスタンではザミンとサマルカンドの地を挙げた。特にサマルカンドに関しては、「景色が可愛いんですよ。何処で写真を撮っても。」と敦子は推した。併せてアクセサリの多様さにも喜び、現地で多数を購入した。そして本作を「知らない地に行って、(自身を)見つめ直す。」と表現した。


尚、ウズベキスタンへのビザ無しで三十日の旅行ができる。ビジネス グループの代表者は一年の期限となる。ビザを発行する場合は、文書提出日を除く二営業日以内。領事手数料は無し。


=STORY=

「みなさん、こんにちはー! 今、私はユーラシア大陸のど真ん中、ウズベキスタン共和国に来ています」

カメラが回り、だだっ広い湖畔に明るい声が響く。ジャージにペンギン(防水ズボン)をはき下半身まで水に浸かっているのは、葉子(前田敦子)。バラエティ番組のリポーターを務める彼女は巨大な湖に棲むという“幻の怪魚”を探すため、かつてシルクロードの中心地だったこの国を訪れていた。だが、精いっぱい取り繕った笑顔とは裏腹に、お目当ての獲物は網にかかってくれない。ベテランのカメラマン岩尾(加瀬亮)は淡々と仕事をこなすが、“撮れ高”が気になるディレクターの吉岡(染谷将太)の苛立ちは募るばかりだ。ときに板挟みになりながらも、吉岡の要求を丁寧に通訳するコーディネーターのテムル(アディズ・ラジャボフ )。その間を気のいいADの佐々木(柄本時生)が忙しく走り回っている。


万事おっとりした現地の人たちと取材クルーの悶着が続くなか、与えられた仕事を懸命にこなす葉子。チャイハナ(食堂)では撮影の都合で仕方なく、ほとんど火が通っていない名物料理のプロフを美味しそうに食べるしかなかった。もともと用心深い性格の彼女には、見知らぬ異郷の文化を受け入れ、楽しむ余裕がない。美しい風景も目に入らない。素の自分に戻れるのは唯一、ホテルに戻り、日本にいる恋人とスマホでやりとりする時間だけだ。

収録後、葉子は夕食を求め、バザールへと出かけた。言葉が通じないなか、地図を片手に一人でバスに乗り込む。見知らぬ街をさまよい歩き、日暮れとともに不安がピークに達した頃。迷い込んだ旧市街の路地裏で、葉子は家の裏庭につながれた一匹のヤギと出会う。柵に囲われたヤギの姿に、彼女は不思議な感情を抱く。

相変わらずハードな撮影は続いていた。首都タシケントに着いた葉子は、恋人に絵葉書を出すため一人で郵便局へと出かける。広い車道を渡り、ガードレールを乗り越え、薄暗い地下道を通り抜け……あてどなく街を歩くうち、噴水の向こうに壮麗な建物が見えた。かすかに聞こえた歌声に誘われ、葉子が建物に足を踏み入れると、そこには細かな装飾を施された部屋がいくつも連なっていた。一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ……。まるで白日夢のようにそれらを巡り、最後の部屋の扉をあけると、目の前には大きな劇場が広がっていた——


=クレジット=

『旅のおわり世界のはじまり』

6月14日(金)よりテアトル新宿、渋谷ユーロスペースほか全国ロードショー

配給:東京テアトル (c) 2019「旅のおわり世界のはじまり」製作委員会/UZBEKKINO


記事:金剛正臣、撮影:岡本早百合

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