令和最初の『経済財政諮問会議』、地方行財政と金融政策への民間からの提案

【ビジネス報道】 内閣府(総理:安倍晋三)は、令和元年五月十四日に令和時代に入って最初の『経済財政諮問会議』を開いた。出席者は総理、副総理・財務相、内閣官房長官、経済財政政策担当相、総務相、経産相、厚労相の閣僚と日銀総裁、「慶大」教授、「東大」大学院教授、日立製作所・会長、サントリーホールディングス・代取の十二名。

議事は「経済・財政一体改革(地方行財政)」と「金融政策、物価等に関する集中審議」。


前者の地方行財政の議論は、夏の骨太方針の策定に向けたもの。民間議員からは「やはり地域経済を大きく発展させ、成長させていく非常に大きな鍵。」と主張。特に地方自治体のデジタル化を非常に大きい鍵と表現した。先ずは国の財源を以って集約・標準化・共同化する方策を検討し、具体的な道筋を明らかにする事を挙げた。次いで臨財債の発行の圧縮、国庫補助金の自由度向上、対象や工程の具体化、地方法人課税を以っての改善。インセンティブの強化。最後に各自治体の取組みのデータ比較が可能な可視化を挙げた。

掛かる問題は、自治体側の人手の不足である。


後者の金融政策等は定期的に議論している。日銀は世界経済を「緩やかに成長」としつつ、中国や欧州で「減速の動き」が見られているとする。国内需要は「堅調」、設備投資は「増加傾向」、個人消費も「緩やかに増加」とし、国内景気は「輸出・生産面に海外経済の減速の影響が見られるものの、基調としては緩やかに拡大していると判断している。」と述べた。金融政策運営については、先月に日銀が強力な金融緩和を粘り強く続けていく方針の明示は適当と判断。


経済財政政策担当相は、「中国経済の減速によって日本の輸出や一部の業種の生産に影響が出ている という事であるが、一方で全世界への日本の輸出はGDPの中で見ると直近で大体十八㌫で、輸入との関係で言うとネットでゼロ。生産の中でも、製造業は最大限にとっても二十㌫、非製造業は八十㌫であり、小さな影響だとは申し上げないが、事実関係からすると、そういうマグニチュードだという事について御理解頂きたい。」と現状を分析している。


これらに対して民間議員は、内需の下支えに向けて賃金底上げを強調する。具体的には、全国加重平均で一千円を提示。足枷は全要素生産性(TFP)の鈍化として、賃上げがコストになってしまっている点を日本経済のボトルネックと警鐘を鳴らす。政府の支援は最低でも二、三年の継続と訴えた。具体策には「設備投資・IT導入等の支援の強化」「M&Aを通じた事業承継を促進 る税制の活用・拡充」「中途採用等支援助成金の大幅な要件緩和」「キャリアアップ助成金による短時間労働者の更なる就業促進」「賃上げ促進税制の大幅な要件緩和」「対象投資の拡充」「下請適正取引の徹底」を挙げた。


また設備投資≠生産性向上を前提に「付加価値をどうやって付けていくか」「価格にどう転嫁するような作戦を練るか」といった経営戦略を一番大事と訴えた。


議長である首相は、「地方行財政改革を推進する事は、単なる歳出改革や行政効率化ではない。住民生活の安定を確保すると共に、地方へのヒト・モノ・カネの流れを強化し、地域経済を再生する上で前提となる取組み。特に、有識者議員から御指摘があった最低賃金については、根本厚生労働大臣から適切なタイミングで、経済財政諮問会議に報告をして頂きたい。」と述べた。


写真:首相官邸

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