『資金決済法』と『金融商品取引法』の改正で優先弁済権を明記

【ビジネス報道】 参院(議長:伊達忠一)は、令和元年五月三十一日に本会議にて閣法四十九号『情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案』を可決・成立した。『資金決済法』と『金融商品取引法』の改正が核。他にも『農業協同組合法』や『信用金庫法』等も含む。施行は公布から一年以内。

五年後を目途に再検討する。


改正案の提出理由は、金融取引の多様化への対応だ。金融機能の信頼性向上と利用者保護等を図る。「暗号資産交換業者」「暗号資産を用いたデリバティブ取引や資金調達取引」への規制整備、金融機関の業務追加、証拠金清算の規定整備等(店頭デリバティブ取引)を行う。



 改正『資金決済法』では、仮想通貨の法律用語を「暗号資産」に改める。暗号資産交換業の広告に関する表示事項と禁止行為も追加。後者には暗号資産交換業者(使用人を含む)による虚偽表示・誤認行為と利益目的の売買・交換を助長する行為がある。利用者の保護も義務化。利用者の暗号資産は、内閣府令の方法で管理しなければならない。利用者の金銭は分割管理し、信託会社等に信託しなければならない。


「履行保証 暗号資産」も新たに追加。該当暗号資産と同じ種類と数量の暗号資産(履行保証 暗号資産)を自己の暗号資産として保有・分別管理しなければならない。


「対象暗号資産の弁済」も追加。契約者は移転目的の債権に関し、対象となる暗号資産につき、他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有する。



 改正『金融商品取引法』では、暗号資産を金銭と見做し、同法を適用する。ICOトークン(収益分配権)は金融商品取引規制の対象となる。金融商品取引業者の付随業務に、同意済みの「顧客情報」と業務の高度化ないし利用者の利便向上に資する「業者保有情報」の第三者提供を追加。


特則としては、暗号資産の性質に関する説明義務、契約締結と勧誘時の誤認表示禁止を追加。不正行為の禁止は以下の通り。

  1. 暗号資産の売買等の不正手段、計画又は技巧
  2. 暗号資産の売買等につき、重要事項の虚偽表示や誤解防止の欠落文書等
  3. 暗号資産の売買等の誘引目的で、虚偽の相場利用


風説の流布、偽計、暴行・脅迫、相場操縦行為等も明示的に禁止する。そして違反者には「十年以下の懲役と三千万円以下の罰金」を設け、差し押さえ対象も拡大した。


画像:概要/金融庁

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