三十三歳から四十八歳までの「就職氷河期世代」へ三年間の政府支援内容を発表

【政治報道】 厚労省(大臣:根本匠)は、令和元年五月三十一日の「経済財政諮問会議(議長:安倍晋三)」に『二〇四〇年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現に向けて』を提出。就職氷河期世代への政府支援を発表した。同世代は、概ね平成五年から十六年に学校卒業期を迎えた世代と定める。本年四月現在で、大卒は概ね三十七歳から四十八歳、高卒は概ね三十三歳から四十四歳。三十代前半から五十代手前までの世代だ。


バブル崩壊後のネットによるビジネスが普及し始めた第三革命に重なり、九年の消費税導入も相俟って就職環境は大幅に悪化。十二年には有効求人倍率が〇.九九倍を記録。昨年は一.六一倍であった。有効求人倍率は一人に対して何人分の求人があるか、の指標(倍数表記)。当時は今よりも厳格な新卒採用主義なので、一度、正規への就職に失敗すると、以降は非正規としての道が主流となっている。当時は「第二新卒」等の概念は無かった。


今回の政府支援は、三年間の集中的な取組み実施。対象は不本意ながら非正規雇用で働く三十五歳から四十四歳の五十万人、長期に亘って無業状態とひきこもり等の三類。具体的には、同省が前日に発表していた「就職氷河期世代活躍支援プラン」を軸に展開する。方向性は以下の三つ。

  1. 地域毎の支援の為のプラットフォーム形成・活用
  2. 就職氷河期世代、一人ひとりに繋がる積極的な広報
  3. 対象者の個別の状況に応じた、きめ細やかな各種事業の展開


一のプラットフォームでは、都道府県レベルと地域レベルに大別。前者は労働局や都道府県、市町村、各省地方機関、ポリテクセンタ、経済団体、(人手不足の)業界団体、金融機関等からなる。後者は自立相談支援機関や地域若者サポート ステーション(サポステ)、ハローワーク、経済団体、ひきこもり地域支援センタ、ひきこもり家族会等からなる。


二では本人や家族、関係者に対して戦略的に支援メニュー(広報)を展開する。


三では多様な個々の環境を鑑み、関連施策を含め十の新規(アンダーライン)ないし拡充支援する。

  1. 民間事業者のノウハウを活かした不安定就労者の就職支援
  2. ハローワークに専門窓口を設置、担当者によるチーム支援を実施
  3. 業界団体等と連携し、短期間で取得でき、安定就労に有効な資格等の習得を支援
  4. 働きながらでも無料で受講可能な訓練の提供
  5. 就職氷河期世代に特化した求人の開拓、マッチング、助成金の活用促進
  6. 職場での実務を通じて適性や能力を摺り合わせる機会、座学と実務による訓練機会の提供
  7. 地域若者サポートステーションの取組強化
  8. 支援が必要なすべての方に支援を届ける体制の強化
  9. 地域共生社会の実現
  10. 短時間労働者等への社会保険の適用拡大



 対象者別で分けると、非正規には「民間事業者のノウハウを活かした正社員就職に繋げる成果連動型事業」「ハローワークに専門窓口を設置、担当者によるチーム支援を実施」「短期間で取得でき、安定就労に有効な資格等の習得支援を『出口一体型』で実施」「働きながらでも無料で受講可能な訓練の提供」「助成金等による企業の取組み支援」。


無業状態には「生活困窮者自立支援とのワンストップ支援」「地域レベルでの潜在的要支援者把握の為のアウトリーチ展開」「全国レベルでの一元的案内・相談機能の整備」。


ひきこもり等には「身近な地域レベルでの周知・広報の為の環境整備」「生活困窮者自立相談支援事業・就労準備支援事業の強化」「中高年者へのひきこもり支援充実」「“8050問題”等の複合課題に対応できる包括的支援や居場所を含む多様な地域活動の推進」。8050問題とは八十代の親が五十代の子を養う超長期ひきこもり(ニート・フリータ)の事。



今回の集中プログラムは今夏までに取り纏めたい。


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