インターネットメディア協会がシンポ初開催、メディア運営の経営視点・ジャーナリズム精神に欠く

【社会報道】 令和元年六月八日に東京・紀尾井町にてインターネットメディア協会(JIMA、代表理事:瀬尾傑)は、『設立記念シンポジウム』を開催した。会場にはメディア関係者等の二百人超が参加し、満員であった。


同協会は四月に設立。報道現在でBBCグローバルニュースジャパンやバズフィードJapan、FNN.jpプライムオンライン、フォーブスJAPAN、スマートニュース、現代ビジネス、東洋経済オンライン、プレジデントオンライン、文春オンライン等の三十四社が正会員となっている。瀬尾 代表理事は、スマートニュース メディア研究所の所長。十一人の理事には各社の代取ではなく、編集長クラスが就任している。


パネル ディスカスでは「メディアの創造性と信頼を得る為に今成すべき事」をテーマに話し合った。登壇者は、NHK・報道局ネットワーク報道部の専任部長、バズフィードのシニアフェロー、ジェイキャストの執行役員、翔泳社・マーケジンの編集長、JX通信社の米重克洋 代取とモデレータである東洋経済オンラインの編集長の計六名。



<理事達は非・取締役>

 「信頼されるメディア運営」「表現の自由と規範をどう支えるか」「メディア経営をどう考えたら良いか」の三点に言及した。話しは現場レベルの視点が多く、本質であるメディア企業の経営について現実的に論じたのは、JX・米重代取だけであった。グーグルやフェイスブック、ツイッタはスピードを重視しており、ニュース品質は二の次が現状である。よってフェイク ニュース等の釣りが蔓延る原因となっている。信頼されるメディアの運営には、盤石な経営体制が基礎だ。


米重代取は収益と費用の構造において、如何に費用を圧縮していけるかを説いた。現下のメディア運営に欠かせない要素は企業としての収益性だ。他の登壇者に関してはPV至上主義への懐疑等と打開策は無く、経営目線がまるで欠けていた。メディアを運営する経営の盤石化には程遠い話だった。ただ、個々の信頼性に関しては優れた意見も散見された。



閉鎖性が高く、著名主義

 同協会への入会には「会員として相応しいと認められる団体」であり、「正会員二名からの推薦」を得て、年会費十万円を収める事が条件と閉鎖性が高く著名メディア志向である(正会員のリストより)。比較対象として「日本インターネット報道協会」や「自由報道協会」の入会条件よりも厳しい。よって閉鎖性が高い。シンポジウムからジャーナリズム性への追及は、然程、感じられなかった。

以下は設立趣旨の冒頭より抜粋。


フェイクニュースのように、民主主義の基盤であるべきメディアの信頼を揺るがす問題もおきています。そこで、私たちはより積極的にその社会的責任を果たすべく、「インターネットメディア協会(JIMA:ジマ)」を設立します。
私たちは情報にとって「信頼性」こそが命だと考えます。メディアやプラットフォームが、生活者(インターネットユーザー)の方々にとってより信頼される存在になるために、その参考となるような指針を議論し提案していくと同時に、フェイクニュースへの対応など最新の知見を共有していきます。


現状は残念ながら、各メディア運営会社の取締役は理事において一名(毎日新聞グループHD・小川一)である。その他の理事は裁判所(司法)における権利を有す執行役ではなく、執行役員等と運営会社の商業使用人である。これが意味するところは、非常に大きい。同協会が先進的な意思決定を行ったとしても、使用者である運営会社の内、数社が否定すれば、先進的な意思決定は覆される。映画等におけるスポンサの「製作委員会方式」に類似する。



非ジャーナリストが説く健全性とは

 設立までに数年を要したが、社会的に大きなインパクト与える組織とは成り得ない可能性は高い。現下のフェイク ニュース等のメディアの諸問題はジャーナリズムの担保が課題である。ジャーナリズムの根幹は権力との闘争である。その闘争心は通常、署名記事で確認できるが、理事の内で二名しか署名記事をネット上(上位検索)で確認できなかった。その署名記事も企業に寄り添った記事と捉える事ができる。同協会は「ネットメディアの健全な発展」を社会的責任から望む模様。


同協会の理事達(小川取締役を除く)が使用者である運営会社の取締役会を変える力をもてれば、そもそもジャーナリストとしてネットに署名記事を残していければ、可能性は拓ける。


非ジャーナリスト達にネット ニュースの健全性を問われ、各記者及びユーザの心は動くのだろうか。五大紙(読売・産経・朝日・毎日・日経)の代取に非ジャーナリストは皆無である。


写真記事:金剛正臣

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