令和元年『参院選』は消費増税の容認選挙に

【政治考察】 令和元年七月四日に第二十五回『参議院議員 通常選挙』が公示される。投票日は二十一日。十月に消費税を八㌫から十㌫に引上げる事が既に決定しているが、今回の参院選では消費増税を容認するか(現・政権肯定)か、否認するか(現・政権否定)の選挙となる。


参議の任期は六年。衆議と異なり、三年毎に半数を改選。今回は百二十四議席(選挙区;七十四、比例;五十)を争う。参院選は都道府県別の「選挙区制」と政党の得票別「比例代表制」の二つ。前者は前回より合区の鳥取・島根がある。後者ではドント式・非拘束名簿方式を採用。非拘束名簿方式とは、政党等毎に各個人票の多い順で当選させる方式。更に後者には今回から当選の順位指定をできる「特定枠」が導入される。


先んじて六月三十日には「ネット党首討論/ドワンゴ、ヤフー」。討論テーマは経済と改憲だった。自民・安倍晋三(甲午)総裁は「これからも私達は経済最優先で取組んで参りたいと思います。」と述べたが、公約では経済は外交・防衛よりも下位であった。立憲・枝野幸男(甲辰)代表は経済成長率が一㌫程度で推移している点につき、原因は内需(個人消費)と断定。「企業の収益が増えても、殆どが内部留保に止まり、それが家計に繋がっていない。」と指摘した。


 企業の内部留保は六年連続で過去最高を更新(上図、本年度は九月に「法人企業統計/財務省」が発表予定。)。四百五十兆円に迫っている。これは平成二十四年の第二次安倍内閣の発足から今までの政権維持期間に重なる。安倍政権下において、大企業の内部留保が甚大に増えてしまった証左だ。大企業が内部留保を蓄えている分だけ、経済は回らない。


維新・松井一郎(甲辰)代表は来年の税収見込みがバブル期を超える点につき、「(増税)二㌫分は充分、他の税で賄える所まで来ている。」と増税凍結を問い、安倍総裁は十月からの保育・幼児教育の無償化の実行にあたって「安定税収が必要だと考えております。」と答えた。


来る参院選は消費増税を容認するか、否かの国政選挙。安倍政権が支持された場合には、大企業が内部留保を取り崩し、投資を行いたくなる新制度が求められる。さもなくば、GDPの六割を占める個人消費は消費増税により下がってしまうので衰退を促進し、目標のGDP六百兆円達成が困難となり得る。


記事:金剛正臣

画像:【図解・経済】内部留保の推移(2018年9月)/時事通信社

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