【ビジネス論説】 政府は令和元年八月七日に『就職氷河期世代(ロスジェネ)』への年齢条件採用を可能にする方針を決めた。原則・年齢差別の例外措置となる。ハローワーク求人のみ認める。ロスジェネは平成六年から十七年の間に就職した世代で、大卒の有効求人倍率が〇.九九から一.六八になる。高卒も含めば現在、三十三歳から四十八歳となる。
日本のビジネスにおいてロスジェネは酷使され続けてきた。だからこその強みもある。ロスジェネが四十代・五十代になるまでの十年間、彼等を有効活用できる企業が商機を得る。以下に理由を示す。
比較対象は前後のバブル世代とゆとり世代。まず就活時に不景気の洗礼を受ける。正解の無い就活の中で、見事に正社員の地位を得た者、全く得れなかった者に分かれる。就活中にストレスの不満を述べる暇は無かった。正規・非正規の職に就いてもデフレの時代。モノ・サービスは売れない。高品質で低価格。徹底的なコストカットに併せて高いパフォーマンスのモノ・サービスづくりに第一線で専念してきた(最低市場感覚の情勢)。
その間、ストレスを訴える事は無かった。企業に訴えれば、非正規や離職に繋がった。上司はバブル世代。パワハラの意味も知らなかった。不景気デフレ下において、戦後最大のパワハラ被害を受けた。最大のものはプライベートの逸失である。この時期に長時間労働・残業代ゼロは当たり前になっていった。毎月の収入の為にストレスは主張できなかった。時の政府は何もしなかった。
その間、ロスジェネの非正規化は限定正社員等を経て、増加の一途を辿った。再就職は大変に狭き門であった。
現政権となり、景気が上向き、ゆとり世代が入ってきた。ロスジェネの社会人十年と比べて、彼らはお嬢ちゃん、おぼっちゃんでしかなく、今までなら取らなくて良い責任も負ってきた。明らかに親の過保護による弊害をロスジェネは企業内で受けてきた。今まで教わってきた指導方法は、最早、不法ですらある。生産性が落ちない様に、また自身らで考えなければならなかった。ストレスを訴えれば首が飛んだ。
だが、パワハラ的ビジネスを主とするバブル世代とワガママが多いゆとり世代に挟まれながらも、業務を遂行し、企業を支えてきた。途中、ネット革命(第三革命)が起き、ビジネスのあり方そのものへの変容を請け負ってきた。結果が出ている企業とそうでない企業に分かれるのは、ロスジェネをビジネス的に優遇したか否か。
前後の世代は人生百年時代に、ある種の諦めを抱いている。しかしロスジェネは、政治経済をみれば分かる通り、ほんの一部だが諦めていない者がいる。今では彼等を支援する者もいる。
平成不景気を乗り切ったロスジェネは、ビジネスマンとして如何に成長したであろうか。現下では、もう一度、彼等の様な人財を生み出す事は不可能であろう。
これからはAI・ロボ革命(第四革命)。モノ・サービスを徹底的に安く品質高くする事に励み、ストレス体制も日本随一の世代のロスジェネ。悲観的なバブル世代とゆとり世代を繋ぐ、楽観的な見地もあるロスジェネ。前後の世代とも、ビジネス的魅力はある。瞬間的なパワーの出力はバブル世代が最大だ。冷静的な分析はゆとり世代に秀でる世代はないだろう。
この前後二世代を活かせるのは、平成に入ってから最底辺を這いつくばってきたロスジェネしかいない。彼等に良好な関係を与える者が今までにみた事がない果実を得る事ができる。現日本において、最大の投資対効果(ROI)を有するのは、ロスジェネだ。彼等を活かさなかったから不景気が続いた。
逆に彼等を活かせば、好景気になる。
但し、平成時代の疲弊により、もう闘える玉数はかなり少なくなってしまった。
(了)
0コメント