新経連の令和二年度『税制改正』への提言は挑戦者志向、法人税の引き下げ等

【ビジネス報道】 経済四団体の一角・新経連(代表理事:三木谷浩史)は、令和元年八月二十七日に来年度の『税制改正に関する提言』を発表した。この要望は、会員企業の声を基に関係者と議論し、取り纏めたもので、「A.デジタル環境整備」「B.人材獲得・育成支援」「C.イノベーション・エコシステム形成支援」の三項目について提言する。


 Aでは、法人税引き下げや海外とのイコール フッティング(対等競争の為の条件統一)確保等による国際競争力確保等は急務とし、日本税制は製造業中心の産業構造を前提としている為(例;税額控除の多くが設備投資対象)、デジタル資本主義の到来に合わせて税制をサービス実装サイドにも利用しやすくする等の見直しが必要と訴える。その他、バックオフィス業務の生産性向上の為のデジタル化やサプライチェーン攻撃の増加に対応したサイバ セキュリティ支援充実等も重要す。以下の税制改正を提案。


  1. 法人税引き下げ;段階的に二十㌫程度まで(報道現在で二十九.七四㌫)
  2. 課税のイコール フッティング確保;海外のデジタル プラットフォーマへの課税
  3. 研究開発税制の見直し;「専ら」要件の撤廃、ソフトウェアの費用処理範囲の拡大
  4. デジタル ファースト税制;『電子帳簿保存法』の要件緩和、地方税の決定通知書のデジタル化、キャッシュレス媒体(クレカ等)の証拠資料化
  5. サイバ セキュリティ税制(ウェブ健康診断支援税制創設)
  6. 暗号資産関連税制;総合課税から申告分離課税への変更(税率二十㌫に)、仮想通貨間の交換は非課税、損益通算や損失の繰越控除を可能に



 Bでは、国内人口が減少する中で外国人材の獲得や人材育成は急務とし、ベンチャ企業を起業・参画するアントレプレナーシップ(起業家精神)をもつ人材が、思い切って活躍できるエコシステムを作る事を重要と訴える。また、今後に拡大が見込まれる外国人については、単に労働力として受け入れるのではなく、日本での共生も重要とした。以下の税制改正を提案。


  1. トック オプション(SO)税制の拡大;行使時の課税を「譲渡所得課税」に、課税は売却時に、「税制適格要件」の年間一千二百万円の上限撤廃を
  2. 外国人に関する税制見直し;公的認定と法人税の優遇措置、言語習得費用等を所得税の特定支出控除に
  3. イノベーション人材を輩出する税制の在り方の検討;五十五㌫の所得税の最高税率(地方税率含む)の引下げ、相続税等の引下げ



 Cでは、日本の経済活性化の為には、国内にイノベーション企業を育成する事が必要であり、その為のエコシステムを税制面で整備していく事が重要と訴える。その為にオープン イノベーションの推進やクラウド ファンディング等により、トラデショナルな企業とベンチャ企業双方にとってWinWinな仕組みの拡充が必要とした。以下の税制改正を提案。


  1. 出資型オープン イノベーション支援税制の創設;一定の認定要件を満たすジョイント ベンチャ(株式会社)に対し、事業会社が出資する場合に当該出資額の五十㌫の「損失準備金」を積立てと損金計上を可能とする。または一定費用を「法人税」から税額控除
  2. プロジェクト型オープン イノベーション税制の創設;事業会社がベンチャと協働して新規プロジェクトを立上げた場合、当該事業会社が新規プロジェクトに要した費用(人件費、外注費、広告費等)を「法人税」から税額控除
  3. クラウド ファンディング(CF)税制の創設;CFにより個人が中小企業の新たな商品・サービスの購入・寄付時に「購入・寄付金額ー二千円」を「所得税・地方税」から税額控除
  4. エンジェル税制の拡充;企業要件や投資家要件の緩和・手続きの簡素化、株式型CFについて大臣認定スキームの対象に(所得控除も適用対象)、法人版も創設して経産省作成の「投資契約書雛形」を利用する事を要件とした「ベンチャ投資額」の二十㌫を「法人税」から税額控除
  5. 欠損金繰越控除の拡充;十年間の期限をより長期に、所得金額の五十㌫の年間上限を撤廃
  6. ベンチャ フィランソロピ税制;非営利法人のソーシャル ビジネスにもエンジェル税制・ベンチャ投資促進税制と同等の税制を、営利法人のソーシャル ビジネスにも寄附税制の適用を
  7. 第三者事業承継・ベンチャー型事業承継の推進;「のれん」償却について現行の五年の均等償却に加えて「一括償却」も選択可能に、売り手側の中小企業の財務情報を政府でフォーマットを用意して譲渡時の税負担の軽減措置を、新規事業に挑戦するベンチャ型事業承継の際には「事業承継補助金」の補助率引上げ等を

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