再びの高度経済成長のため、国家予算を二百兆円に

【経済・財政コラム】 これは、あくまでも理想論であるが、大胆な打開策でもある。


平成の三十年間をバブルの清算に使った。令和には、日本で再び高度経済成長期を迎えさせる策である。狙うは全国民の所得倍増である。



日経平均は令和二年に三万円の大台に乗せる、という予測が各種メディアでも報じられている。米中貿易戦争の終焉や日本のハイテク株への外国人投資家の還流等、様々な根拠が羅列されている。平成二十年のリーマンショックを底値にアベノミクスの官製相場で上向き、平成を終えた。一部の投資家から新たな高所得者・富裕層が生まれたが、一方で、現在の較差社会(階級社会)を生んでしまった。


国内における国民の総所得はGDPである。三面等価の原則で国内の総生産・総所得・総支出は同じ、という意味だ。GDPに海外からの所得を加えるとGNI(国民総所得)となる。株価だけ上がっても全国民の所得は増えない。国民の所得が増える為には総需要が増える必要がある。


その契機となるのが、日経平均が三万円に到達する事。


到達後に財政を超出動する。



日経平均が史上最高値を付けたのは、平成元年。三万八千九百十五円。四万円手前だ。狙うは、最高値の更新。先の高度経済成長は、昭和二十九年(第一次 鳩山一郎 内閣)から四十八年(第二次 田中角栄 内閣)までの約二十年間。この間に五輪景気もあった。その十六年後に日経平均が最高値を付けた。


高度経済成長時のGDPは実質で毎年十㌫程度。現在は一㌫程度。平成七年から殆ど変わっていない。変わらないパイの中で旧い富裕層が変わらず、新たな富裕層が誕生すれば、中産階級が下位へ堕ち、較差が拡がるのは当たり前の事だ。現在の搾取型社会である。これを発展型社会に戻す。



しかし牽引役の新富裕層は経済循環に欠かせない。アベノミクス(官製相場)は、経済を循環させる為の新たな牽引役を創った段階だ。新富裕層が誕生した今、次なる政策は一つ。再び新たな中産階級を勃興させる事である。


大胆な財政出動ではなく、財政出動である。



最高値を付けた平成元年度の国家予算・歳出は六十兆円になったばかり。最も高い項目は十三.四兆円の「地方交付税交付金」、次いで十一.七兆円の「国債費」、そして十.九兆円の「社会保障関係費」。比べて令和元年度の歳出は百一.五兆円。順に三十四.一兆円「社会保障関係費」、二十三.五兆円「国債費」、十六.〇兆円「地方交付税交付金等」。


平成の三十年間で国家予算の歳出は、四十兆円も増えた。なのにGDPが一㌫。何故か。



シニア向け「社会保障関係費」が二十三.ニ兆円、借金返済の「国債費」十一.八兆円の二項目だけで計三十五兆円。共に直接GDPを増やす項目とは言い難いだろう。差し引き、五兆円しか三十年間で増やしていない。三十年間でたったの五兆円しか投資してない。年間に換算すると、一千七百億円しか国は投資してない事になる。

だからGDPは一㌫成長なのだ。


GDP六百兆円を目指して、この投資額はない。


因みに、高度経済成長期後の昭和五十一年度の歳出は二十四.三兆円。現在の四分の一程度の予算。そして最高値を付けた平成元年度で六十.四兆円。十年ちょいで二.五倍に、三十六兆円も予算を膨らました結果、最高値を付けた。



高度経済成長期の「生産年齢人口」の増加率は二㌫未満、輸出は現在の水準よりも低い。人口は爆発してないし、輸出で高度経済成長をした為ではない。人口爆発は戦後直ぐだ。内需で当時は盛り上がった。



昭和三十年の原発の「原子力基本法/鳩山内閣」や三十五年の太平洋ベルト地帯の「所得倍増計画/池田内閣」、四十七年の高速道路・新幹線の「日本列島改造論/田中内閣」等と当時はずっと、大型インフラを政府主導で牽引している。その結果、国民の所得は大きく上がり、GNIとGDPは世界二位(四十三年)にまでなった。一昨年でGNIは世界二十二位、GDPは世界三位。落ちぶれた。




理由は明確である。政府の投資、財政出動が余りにも無さ過ぎる為である。


政府が投資をし、そこに民間が乗っかり、政府が再投資して民間が更に乗っかる。


これが日本の好景気循環だ。よって政府が投資を止めれば、景気循環は止まる。




打開策は日経平均最高値時の様に、歳出に対する「社会保障関連費」を六分の一の割合にする事だ。これは現状から引下げる策ではない。歳出自体を今の倍の二百四兆円まで引き上げれば、「社会保障関連費」は六分の一にまで落ち、がっつりと日本に投資する事ができる。民間が乗り、国民の所得が上がり、そしてシニア達も白い目をされる事がなくなる。


今から百兆円も予算(歳出)を増やしたら、財政破綻を来たす、ハイパーインフレが起こる。この様な問題は起きない。


財政破綻は借金返済ができなくなった場合だ。日本は自国通貨の円建て借金(国債)なので、財政破綻は理論上、絶対に起こり得ない。お金を刷れる、国債を買い取れる日銀がいるからだ。財政破綻をした国々は他国通貨での借金をしていた為に、取り立てで返済ができなくなった。


ハイパーインフレも、日本では一度も起こった事がない。それは政治家や官僚、そして国民が賢いからだ。日本国民は内外の事象程度で極端な物価上昇を起さない。ハイパーインフレが起こる国は、その国の慌てふためく国民性とも云える。日本では革命(皇室転覆)でも起きない限り、絶対に起こり得ない。そして起きてない。



国から百兆円の追加投資。これがあれば再び高度経済成長できる。何も一年で百兆円を増やす訳ではない。先の高度経済成長からバブル期までで考えれば、三十五年掛けて国家予算を倍増させる。少なくとも、毎年三兆円の追加投資を行っていけば良いだけだ。但し、増大し続ける「社会保障関連費」、特に医療費の技術革新は欲しい。そうすれば、「社会保障関連費」が頭打ちとなり、純粋な投資が増える。それでも六分の一にならなければ、三百兆円を目指すまで。GDPは九百兆円を目指せば良い。元が取れる。




尚、安倍内閣の令和二年「概算要求」では、元年度の百一.四兆円に対し、百五.〇兆円と三.六兆円の増加。内、「社会保障関連費」を除けば、三兆円程度。この流れを以後、三十五年間の各政権は止めてはいけない。止めれば、平成の不景気が再来する。日経平均最高値時をベンチマークにする。


そして何より外国より移民を招いてしまうと、国民の生産性増大を止めるので、控えなければならない。日本国民だけで、国民の所得を倍増させる。更なる政府の投資・財政出動を求め続ける。どうせ借金を返済するのは、五十歳未満の若手世代だ。ならば、不毛な未来よりも大きく懸けたほうが良いはずだ。借金して事業を拡大するのはビジネスの常である。


最も大切なのは、プラス百兆円の内訳(新ビジネス)を考えられる者だ。


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