【ビジネス ニュース】 平成二十八年四月二十七日に経産省(大臣:林幹雄)は、「新産業構造ビジョン」の中間整理を行い『第四次産業革命(以下、第四革命)』をリードする戦略的取組を発表した。今回の整理は、昨年八月より議論を重ねた結果となる。中間整理のポイントは六つ。『第四革命』のインパクト、我が国の基本戦略、『第四革命』による社会の変革と産業構造の転換、『第四革命』による就業構造転換、産業構造・就業構造の試算、我が国の具体的戦略となった。
そして、我が国の具体的戦略として以下の七戦略が挙げられた。
- データ利活用促進に向けた環境整備
- 人材育成・獲得、雇用システムの柔軟性向上
- イノベーション・技術開発の加速化(「Society5.0」)
- ファイナンス機能の強化
- 産業構造・就業構造転換の円滑化
- 『第四革命』の中小企業、地域経済への波及
- 『第四革命』に向けた経済社会システムの高度化
一は、データプラットフォームの構築やデータ流通市場の創成、『第四革命』上の知財・競争政策等。二は、新教育システム構築やグローバル人材の獲得等。三は、イノベーション拠点の整備や国家プロジェクト構築、社会実装の加速(人工知能等)等。四は、無形資産投資の活性化やフィンテックによる高度化等。五は、新事業再生・再編制度等。六は、中小企業及び地域のIoT導入等。七は、戦略的連携によるグローバル展開の強化等。
=解説=
第四革命は、ビジネスは元より人間の生活の大きな変革をもたらす。日本政府は、この第四革命において世界でのリードを画策する。第四革命には、IoT・ビッグデータ・ロボット・人工知能(AI)等の技術革新を含み、それらが浸透した社会を意味する。
今迄の産業革命を俯瞰する。十八世紀後半に英国から起きた工業化『第一革命』。手工業から機械工業に成り、同一時間での生産性が大幅に向上。蒸気機関車の登場により、同一時間での移動距離を大幅に延長し、運搬量を格段に増加させた。
十九世紀後半の電機・石油『第二革命』は、米国勃興となった。自動車やプラスティックにより、大量輸送(個の長距離移動)や大量消費が可能となった。更には回転式印刷機やラジオ、映画が登場。情報の伝達数及び距離が飛躍的に延伸した。
二十世紀末のデジタル化『第三革命』は、インターネットや携帯電話の登場により情報伝達の光速化や生活の一部の仮想化が起こった。これにより、情報収集・発信及び働き方等が変わった。特に個のプライベート圏と商圏がグローバル化した。事実上の地理的距離と時間を点に圧縮している。
<第四革命内にビジネスを置く>
そして、二十一世紀初頭の『第四革命』。IoT・ビッグデータ・ロボット・人工知能(AI)等により何が起こるのか。関連書籍は枚挙に暇がなく、全貌は明瞭ではない。貨幣は衰退し、仮想空間が生活の要となるだろう。カネはさしたる意味をもたなくなり、ヒトと機械が共存・共栄する。経験はデジタル化され、商品・サービスとして取り扱われる。細胞のアンチエイジングに成功し、生命の寿命が意味をもたなくなる。そういった可能性を秘めた今後五十年だ。
先ずは経産省が仕掛ける。ビジネスの観点で云えば、国家戦略の重要な要素である事に違いはない。故に上記の七戦略のいずれかに自社のビジネスを置き先鋭化すれば、市場は確保され官民が一つとなり世界的優位に立てるだろう。ポイントは、大企業だけでなく中小企業を含んでいる点であろう。
(了)
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