『ゆとり世代』が日本一の生産性を誇る可能性

【コラム】 とある世代が「ゆとり世代」と揶揄される。語源は第四・第五ゆとり教育(平成十四年以後)からきており、本人らは一方的な義務・高等教育の変更を受けた為、当時の政治の被害者である。ゆとり教育自体は昭和五十五年から実施されているが、第三ゆとり教育以前の世代はいわゆる「ゆとり世代」に入らない。理由は、第四・第五ゆとり教育での学習指導要領に“ゆとり”が多用された所以だ。


“ゆとり”を多用した第四ゆとり教育の政治は、自民・小泉内閣(十四年時点)で、脱ゆとりを図ったのは自民・安倍内閣(十九年時点)。


二十三年にゆとり教育は終わった。この第四・第五ゆとり教育を受けた世代が「ゆとり世代」ないし「さとり世代」と呼ばれる。第四は、昭和六十二年(丁卯)から平成八年(丙子)生まれ。第五は九年(丁丑)から十六年(甲申)生まれとなる。


「ゆとり世代」のボリュームは、十七年間。十二歳から二十九歳まで。その総人口数は、二千万人を超え、日本全体の二割を占める。彼らの過半数は有権者で納税者だ。決して揶揄してはならない。



<彼らは『凝縮世代』>

 揶揄される理由は、単純だ。高度経済成長やバブル崩壊後を生きてきたビジネスマンらにとって、彼等の常識や考え方が合致しないからだ。現代は第三革命から第四革命に入る段階であり、過去の常識や考え方では有望なビジネス展開ができない。一重に中高年の管理能力が低い、ないし適応能力が足らないだけであろう。


ハイムは取材先として彼らによく接触し、対話をする。時には共に仕事をする。ハイムはデジタルに特化した報道なので、彼らとの相性が良い。そして「ゆとり世代」と揶揄することは過ちであり、そもそも失礼である。ハイムは彼らの特徴に気がついた。彼らは「ゆとり世代」ではなく、『凝縮世代』だ。少なくともハイムは、以後、その様に呼ぶ。



理由を示す。

 統計上、実数は信頼性がある。ハイムは過去五年以上において、『凝縮世代』を千人以上も取材してきた。生の声、雰囲気、礼儀、仕事力を視てきた。『凝縮世代』は、自己を凝縮させている。この比較は、他の世代と比較した際のことだ。『凝縮世代』は、現実世界でのコミュニケーション能力が低い。なぜならば、仮想世界でのコミュニケーション能力(LINE等)が高いからだ。中高年は前者が高く、後者が低い。


中高年は現実世界での愛嬌はある程度あるが、『凝縮世代』は仮想世界で非常に神経をすり減らしながらコミュニケーションを図っている。例にとれば、小学生のLINEイジメを警戒するように。『凝縮世代』はレスポンスやリアクションが乏しい。現実世界においてだ。ただし、仮想世界では表現豊かで喜怒哀楽がはっきりとしている。汚点が一つある。『凝縮世代』のコミュニケーションは、遅い。




<相手のことをよく考えるが故のフリーズ>

 背景に日本の安定志向がある。安定性、安心、無難を最重要視するためにリスクを最大限に減らしてから、重要な意思決定を行う。だから時としてコミュニケーションがとても遅い。一つの意思決定に何ヶ月、何年もかかることがある。その一つは、上の世代からすれば、大したものではないだろうが、当の本人らは異なる。物事の重要度は十人十色だ。このような背景もまた大人が彼らに植え付けたものである。これも被害者といえる。


そして彼らは既読スル―などで、コミュニケーションを一時的に遮断する手法を常態的にもつ。これは冷静な状態で物事を判断するために距離をおいている、と見做せる。振り回されることを嫌うのだ。ここで人生の諸先輩方は、「相手のことを考えていたら、シカトはできない。」と叱るだろう。しかし『凝縮世代』は、よく相手のことを考えている。仮想世界では自身の振る舞いでどうなるか、相手はどう思うかを上の世代よりも深く深く考えている。

つまり、相手のことを考え過ぎて、フリーズ(思考停止)する。



彼らに必要な再起動時間

 これを回避するためにリセット(再起動)を行う。その時間は十人十色。よく独りぼっちを好む。それもこのためだ。ひきこもりも得意だ。好きでやっている訳ではなく、他に迷惑をかけないために存在を消すのだ。『凝縮世代』は、自身の考えや気持ちを心の奥底に凝縮する。その凝縮率は上の世代では簡単に理解できない。


ここまでで分かることは、『凝縮世代』は他をよく見ている、ということだ。最悪、自身を消すこと(自宅に帰るなど)をいとわない。彼らなりに配慮している。その根本には“義”の精神が宿っている。“正直さ”も欠かせない。裏切りが嫌いで、嘘をつくのが苦手。思ったことは結構、そのまま言ってしまう。友だちは死ぬほど大事な世代だ。さて、『凝縮世代』は悪い人間だろうか。“義”を重んじ、正直。そんな彼らが今の社会をみて、無難路線を選べば、当たり障りがない現実コミュニケーションを上の世代と行うであろう。




<主力艦の主砲級をもつ>

 最重要なポイントは、その凝縮率と義理人情の厚さ、バカ正直により、他の日本人の世代が実現できない生産性を発揮することがこの度、判明した。こちらは統計上で、数字が少ないために仮説だ。皆がそうではないだろうが、各々が主力艦の主砲級をもっている、と見做せる。充填や再充填には時間がかかるものの、破壊力は抜群だ。ただし、当たれば。


的に当てるためには、的確な指示(角度など)を伝える必要がある。『凝縮世代』に必要なのは、人生の指針だ。この指針がないために、あっちゃこっちゃで暴発をしてしまっている。そして時としてやる気が全くない。『凝縮世代』の主力艦と搭載する主砲級の能力を知り、使いこなせる先輩が必要なのだ。彼らは自身の力を持て余している。



例に挙げよう。

日本一のアイドルとして君臨する指原莉乃。平成四年生まれの二十二歳。アイドル界で首位という明確な目標をもって、達成。HKTでは後輩のビジネスの陣頭指揮にあたり。国内アイドルGとしては、一定のビジネス規模を有す。

政界では、奥田愛基が政治活動に力を入れ、国会前デモ四万人を成功させる。指原と同年。

ハルヒや泉こなたなどで有名になりブームのはしりに位置する声優、平野綾。昭和六十二年生まれの二十八歳。ハーフ系モデルのはしりとしてのマリエも同年。

子役で大御所となった芦田愛菜は、平成十六年生まれの十一歳。超短期間で実力派の子役にのし上がった。

ビジネス界では、女子高生社長として有名になった椎木里佳。平成九年生まれの十八歳。最年少での上場を目指している。




<『凝縮世代』が日本の要だ>

 上記の一部の例のように、一度、指針が決まり行動し始めれば、達成するまで走る。走りながら次の課題を見つけ出し、NEXTステージに備える点も評価に値する。これを繰り返すことにより、「思えば遠くに来たもんだ。」という程の位置まで駆け上がる。例え、途中で失敗しても迂回し、別ルートで達成を図る。彼らには止める、という選択肢を常にもつ。これは孔子でいうところの兵法「檀公の三十六策、走ぐるを上計となす(「南斉書」王敬則伝)」の戦術を有してるに他ならない。


日本は今迄のビジネスの延長上では生きていけない。彼ら『凝縮世代』の力がこの国の未来を創る。そのためには、指針を与える指導者が求められる。きちんと指針を与え、本人が感情的・論理的に納得すれば、この国きっての生産性を誇るだろう。彼らの価値観を知るには、彼らが好きな漫画・アニメを読み漁り、観耽ることだ。「ワンピース」しかり「弱虫ペダル」、「進撃の巨人」、「おそ松さん」など。それらの物語りや人生観が『凝縮世代』には深く根付いている。

横一線に繋がることが事実上、唯一可能な世代『凝縮世代』の全てが参政権を得るまで、後、七年。主砲級の二千万票が、久しくこの国でなかったREVOLUTION(政治的革命)を起こし、新日本を創るかも知れない。



写真:指原莉乃;公式G+より引用

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