新型コロナ対策で首相は遅く都知事は早いは誤り、首相は「議院内閣制」で都知事は「独任制」

【政治考察】 この機に国民は、国と都道府県の行政の制度の違いを知る必要がある。


武漢肺炎に対して安倍晋三(甲午)首相の対策が遅く、小池百合子(壬辰)都知事等の各知事の対策が早いとの錯覚がある。これは誤りだ。


先ず首相から。日本は「議院内閣制(合議制)」を採用しており、言葉の通りに議院(議会)に承認された内閣が行政を執る(例:安倍内閣)。内閣は内閣総理大臣を首班とするチームだ。国の行政の長は内閣総理大臣。他国では英国や独国が議院内閣制を採用している。


一方、地方公共団体(地方自治体、都道府県)は「独任制」を採用。内閣総理大臣とは異なり、直接に知事を選挙で選ぶ。内閣等のチームはない。都道府県の長は知事。単独で色々、決める事ができる(専決事項等)。他国では米国や韓国、台湾等が統領制を採用。


首相は合議して決める。閣議決定が典型的だ。次に国会で採決する。首相が何かやりたいと思ったら、内閣内で意見を合わせて、その後に野党と話し合い、擦り合わせて物事が進む。現在は連立政権で、自民は右派、公明は左派だ。与党内だけでも簡単に擦り合わせができない事が分かるだろう。そして何よりも財務省の官僚が〇を出すか。通常は予算が伴う事なので、財務省の官僚の賛同が欠かせない。

首相という職業では、色んな立場の人や組織と擦り合わせる必要がある。


さて、知事だ。知事が独断できるか否かは、地方議会の構成内容で変わる。都や府は知事派の会派が議会で過半数を超えている。知事のやりたい事が通り易い。専決権はあるものの限定的で、大きな予算を動かしたい時は、議会を通す。都もこれから臨時の都議会を開く。

この様に議会で過半数を得ている知事は、擦り合わせる必要があまりない。


これで首相と知事のスピード感を同じ土俵で計る事が、不公平である点が理解できるだろう。

職業的にも議会の構成内容でも同じ土俵では全くない。



もう一つの盲点

 知事達は地域の緊急性を訴える事はできるが、その責任、つまり金銭的補償の主軸は国、という点だ。各都道府県の財源は小さい。補償額も非常に小さい。だが地域の声を国へ発信する事ができる。騒ぐ事はするが、財源の責任は国だ。国は国民の税金を預かっている。慎重になるのは当然であろう。

この制度の違いや発言による金銭的な責任が無い者がわめき、騒いでいるのが現状だ。


国のスピード感は遅い程度で良い。

何故ならば「国民の税金を使うか、使わないか」「国民の所得を絞るか、緩めるか」の二択だからだ。我々のお金に慎重であって欲しくないのだろうか。


国の判断が遅い理由は、世界保健機構(WHO)のHPにある。上図は一目瞭然である。左下の日本では死者数が圧倒的に少ない。世界一位は米国の三.四万人。次ぐ緑円のグループはイタリア、英国、スペインと仏国で二万人前後。日本は三百人。


日本では毎年、インフルエンザで平成二十四年以降に一千人単位で死亡している。三十年には年に三千人の死亡者が出た。だが緊急事態宣言(自粛要請)は一度も出なかった。本年の実質GDP成長率は前年比でマイナス五㌫程度が予想されている。国は経済の収縮と働き手の所得減に慎重であった。だが一部の責任を負わない者達の意見で、非正規の若手を中心に働き手や子どもは、困窮に瀕し始めている。


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