真の大人な男の映画である。|映画『赤い玉、』試写会レビュー

【芸能ニュース】 高橋伴明が二〇年振りに挑戦したエロス映画『赤い玉、/渋谷プロダクション』は、社会を解った男と女を魅せてくれる。それは老いではない。境地の若い男と女にも観てもらい。試写会における感想を伝えたい。

 せせこましさなぞ、微塵も感じない。音と時間の経過が、現実と嘘を曖昧にさせる。時田修次役で主演の奥田瑛二(庚寅)の渋さではなく、羞恥とユーモアを感じた。奥田の演技の魅力を、ここで語らずとも、更なる上塗りを重ねてくれる作品であろう。特に女性陣のキャスティングは、堪らない。奥田に尽くす唯役の不二子(庚申)、一冊の本で翻弄される羽目に陥らせる女子高生の律子役の村上由規乃(甲戌)、未来への期待値が抜群のエッヂが効いた演技を魅せた土居志央梨(壬申)。そして登場回数はワンシーンだけであったが、奥深いトコロに女優力を宿した山田奈保は時田の娘役。女優陣の眼・眉・唇・頬・声に注視されたい。


平成という時代に、ここまで揃えた事実に驚愕だ。不二子は二〇代、村上は一〇代後半、土井は二〇代前半と、迚も良い女に囲まれた奥田が、初老を俯瞰した。そして呑みこまれていった。村上・土井・山田は、京都造形芸術大学 映画学科 俳優コース。



<小僧には解らないエロス>

 本作はR18だが、エロではなく“エロス”。文学的エロスだ。そう、そんな映画を日本の紳士は待っていたのではなかろうか。残念ながら少年や少女には、全くもって理解できない作品であろう。もし紳士が淑女と共に鑑賞し深め合うコトができれば、その淑女はホンモノと云える。それは逆も然り。映画が終わった後に、大人の男かどうかを女はジャッジできるだろう。


久し振りの日本的なちゃんとした映画。DVD等ではなく、劇場で音と心の流れを肌に纏われたい。報道現在で平成二十七年九月より上映が開始される。何もカッコつけていないが、何か皆カッコ良い作品。監督・脚本は高橋伴明。エロス作品は映画「愛の新世界(一九九四)/東映アストロフィルム」から二〇年振りとなる。最近は人間ドラマで安定していた。イマ、こんな女達がいたら、手放したくないであろう。


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