【社会コラム】 コロナ禍により、一つ社会的に良くなったことがある。「職業に貴賎なし」の問題だ。憲法は職業選択の自由を保障している。
『憲法』第二十二条第一項
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する
先の一斉休校で休職した保護者への支援として、一定の休業補償を行う制度につき、厚労省は「公金を投じるのに相応しくない業種との判断だ。」と当初は示していた。いわゆる風営法にかかる風俗業(水・風)のことだ。
立憲・蓮舫 参議はツイッタで「厚労省の誰が何の権限で線引きができるのか。 その場で働くしか選択肢のない人の労働を否定できるのか。 守るべき命に線引きが出来るなんてあり得ない。 確認します(四月三日)」と行政による職業の貴賎に対し、異を唱えた。
確かに公金の原資は税金なので、正当な納税をしていない国民へ手を差し伸べることはおかしい。ただ、今回は第二次大戦以来の経済危機なので、平時ではなく有事の応対が必要だ。同省は考えを変えた。
日本人の中堅以上は、未だに法的に問題のない水・風の職業を差別するきらいがある。今風に言えば「ジョブハラ」だろう。
ジョブハラは非正規にもないだろうか。これだけ改憲議論を国民は求められているのに、憲法一つ、中堅以上は学んでないのだろうか。憲法は百三条しかない。普通の大人ならすぐに読める範囲だろう。少なくとも何を書いてあるかは読めるだろう。ジョブハラが令和においてもあることは、本当に情けないことだ。
憲法が指し示しているように、職業を選ぶことは自由である。法的に問題のない職業に対し、差別をするのは「平等権(法の下の平等)」の侵害である。
おっさんは憲法を学ぼう
日本は未だに「セクハラ・パワハラ・ジョブハラ」の三大ハラスメントを擁してしまっている。特にジョブハラは根深い。令和時代で根絶できるように、若手が中堅以上に憲法を教えていこう。ただ、過度なハラスメントへの追及は副作用ももたらす。以下に例を挙げる。
- 異性の容姿を褒めるのはセクハラか→出会い減
- その指導の仕方はパワハラか→育成意欲の減
- 諭すような伝え方はジョブハラか→人生の選択肢の減
明確な違法ないし不法行為のハラスメントを指摘しよう。何でもかんでも指摘するのは、私法になってしまう(自粛警察など)。私法は不法だ。いけないことだ。私刑は許されない。法治国家である以上、相手を責める際には法的根拠を示そう。若手は当然、憲法を学ぼう。
人は理由あって、その職業に就いている。それを「賎しい」とすることを憲法は許さない。
記事:羽田野正法
写真:FPhime
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