「ウイルスとの共生する覚悟を」国際連帯税の創設へと多摩大学長|グローバル連帯税フォーラム

【社会報道】 令和二年六月十五日に国会にてグローバル連帯税フォーラム(代表理事:田中徹二)は、『ポストコロナの針路:新しい政策科学としての国際連帯税』を開催した。同フォーラムには日本総合研究所会長の「多摩大」寺島実郎(丁亥)学長が講演を行った。会場には国会議員三十名超と国民が出席し、積極的に質疑を行った。


国際連帯税とは気候変動や貧困、疫病等の地球規模の問題への対策資金を創出する為の革新的資金メカニズム(IFM)構想の一つ。国境を越えて展開される経済活動に対して課税し、その税収を途上国向けの開発支援等に活用する事を目的としている。これまで国単位で考えられてきた税制度を地球的規模で実施するという発想に立ち、その課税対象は様々なセクタを横断。


寺島学長は第一にウイルスとの共生する覚悟を挙げた。「地球の歴史は四十六億年、ウイルスの歴史は三十億年、人間の歴史は二十万年。人間は地球の新参者。ウイルス撲滅より人間が滅びてしまう。」と説明。現在の情報環境からのコロナ問題再考を指摘する。メディアの落とし穴として「日本のメディアには“科学ジャーナリズム”がない」と強く戒めた。情報の調査且つ抽出となるスクリーニングができないメディアが多い為、今回のコロナ禍で専門家の「対策を取らなければ、四十二万人死亡」という情報が日本を混乱させた。専門家の発言には危険性を伴う。今後は、一専門家の意見だけではなく複数の業界専門家との情報の擦り合わせが必要だろう。



<金融取引税の導入を>

 今後のDX時代についても触れた。米・ⅠT五社に挙げられるGAFA+M(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン・マイクロソフト)の株式時価総額は報道現在で約六百兆円。僅か五社だけで日本の国家予算を超える額を有する。中・ⅠT三社はBAT(バイドゥ・アリババ・テンセント、ファーウェイは未上場)で日本の国家予算の二割を賄う。一方、日本の東証一部上場企業の上位五社「トヨタ自動車・キーエンス・ソフトバンクG・NTTドコモ・中外製薬」を合わせても約六十兆円と国家予算の約一割。


世界強者の二国と比べ、如何に日本の企業が劣っているかが分かるだろう。寺島学長は平成時代の「失われた二十年」により世界における日本のシェアが十㌫も落ちた点を原因とした。


寺島学長は国際連帯税においての基本思想は「グローバル化の恩恵を受ける人が責任を共有すべし」を念頭に動く事を訴える。欧州が既に導入している「航空券連帯税」と欧州が先行導入を検討している「金融取引税(株取引に〇.二㌫、為替取引に〇.〇〇五㌫)」を例に挙げた。コロナ禍で状況は厳しくあるが、日本でも航空連帯税の提案を行う。


そして、本丸は金融取引税であると強く推した。先日に閉じた国会「財政金融員会」で麻生太郎(庚辰)金融担当相は同税の導入を全否定はせずとも、難色を示していた。同フォーラムに参加していた自民・逢沢一郎(甲午)衆議は「今回のコロナ禍で感染症は、いつ発症してもおかしくない。」とし、どれだけこの問題に熱心に取り組めるか、「総理と官房長官と外務大臣が動いて自民党、公明党の政調会長動かさねば。」と語気を強くして訴えた。


撮影記事:岡本早百合

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