【人生考察】 人生百年時代で最も重大な要素は人(学力・知識)。物や金、情報ではない。米Googleも社員へ学ぶ力を重視している。
※本稿は長文であるので、一回目はざっと眺め、二回目以降にゆっくりと読み進める事を推奨
<知識格差の令和時代>
故ピーター・ドラッカーが予見した通り、世界は金融・資本主義から「知識・資本主義」に変容している。時は第四次産業革命下。日本は第三革命期に第二革命期で最適化(規模・範囲の経済)したまま、変わらなかった。その為に、失われた二十年の歴史を綴ってしまった。令和の今でも過去の遺物「終身雇用」「年功序列」「企業内労働組合」の後始末を行っている。
金の格差から“知識の格差社会”に入っている。これは大企業や政府の力で何ともできない。この知識の格差は、令和時代に指数関数的に拡大するだろう。よって賃金格差・所得格差は決して縮小しない。子どもまでは親の所得の問題だが、この知識の格差は自主性や運、属するコミュニティという曖昧な要素に委ねるところが多く(AI等で判断し難い)、未来に大きな社会問題となる。
いくら良い物・情報と大金を手に入れても、手に入れた人が無知だったら。
宝くじが参考になる。当選して、いきなり一億円を手に入れても、その単位の金の使い方を知らない為、単に消費を過剰に行うだけでなく、何故か借金に手をつけ、首が回らずに破産しやすくなってしまう。
今回のコロナ禍も同じ。データサイエンスどころか、簡単な統計も知らない為に「六十歳以上のみ自粛を要請する」事ひとつできない(若手の感染者が増えても、死亡者数は統計学的に変わらない)。首長が無知だからだ。無知な行政による弊害は大きい。
自身の需要の増大を図る
政府は七十歳から七十五歳まで定年を上げ続けようとしている。財政緊縮・経済衰退・増税の三点セットが平成時代の様に戻れば、その後の年金で今の若手が生き抜く事は厳しい。優れたFPならば、若手の年金(支払った総額)が元本割れする事は計算できる(例:所得代替率の基となるモデルが昭和的)。
よって自身のリカレント教育(知識の刷新・強化)を以て、人としての市場からの需要を高め続けなければならない。何も策を講じなければ、通常、その人そのもの需要は下がっていく。
最終学歴が十八歳から二十二歳、二十四歳というのは前時代的となる。令和時代には最終学歴を刷新していく。何も大学だけがリカレント教育ではないが、体系立てて各学問を学べるのは大学なので、核は大学だろう。そこから各種資格等に触手を伸ばす事が基本パターンとなり得る。
<経済学の景気循環をベースに>
考えなければならないのは「教育費用」だ。フルタイムの大学ならば、百万円単位で費用が掛かる。通信ならば十万円から四十万円が大方。子どもがいるならば、子どもの教育費用に追加して親一人、ないし親二人の教育費用を捻出する必要がある。子どもの教育費用は一回限りだが、親は異なる。定期的な知識の刷新・強化の為に教育費用はゆるく恒常的となる。
現状の感覚では最低でも二十年に一回(クズネッツ循環)、できれば十年に一回(ジュグラ循環)以上のリカレント(循環)期間が欲しい。
学士等の「称号」と各種「資格」に併せて、プロの勉強会(コミュニティ)の三類を循環させたい。全て大学でなくとも良い、という事だ。ただ経営学・経営工学のどちらかはビジネスの基礎として欲しいところ。簿記等の知識無しに、人生百年時代を生き抜けるとは思えない。
住宅の取得は控えるべき
以上の様に考えた場合に人生三大出費と言われた「住宅ローン」「教育費(子ども)」「老後資金」は再考せざるを得ない。現在は「介護費」が追加されている。この中で住宅ローンが一番大きい。にも関わらず、生産性が一番低いどころか、住戸を取得する事自体が高リスクとなってきている。ならば住宅ローンは組まないのが、令和的リスク分散だろう。そもそも人生三大出費なのに生産性(生み出す所得)が度外視されている点に疑問が掛る。
先ず「教育費(リカレント)」分を住宅ローンから充てる。
介護費は医療費の増大から下がる事は望みが薄く、上がる可能性がある。少しでも打開する方法は「財政拡張」「消費減税」だが、当の若手は投票率も低く、政治(未来の自分の人生)への関心が薄い。若手が財政拡張と消費減税を望んで投票に行けば、好転する。
現状の見込み(財政緊縮・経済衰退・増税)では未来に亘って人生の費用が増大し続ける事をベースに考えた方が良く、自身の市場価値を下げる訳にはいかない。リカレント教育時には生産性(所得)も下がりがち。リカレント教育を受けながら右肩上がり、という理想は追わない方が良いだろう。通常は所得が一回、下がる。その後に上がる。
<リスクをコントロール、マネジメントする力が人生を左右>
「何時、損切りするか」
これは狙ってやるもの。日本人は兎角、これができない。リスク マネジメントを学んでないからだ。損切りを意図的にしなければ、最大リスクを招いてしまう。最大リスクを避ける為に、通常は損切り(小リスクの選択)をする。全部取ろう、何も失いたくない、という幼稚な点が人生の最大リスクだ。
コロナ禍の様に感染者ゼロが不可能。どのリスクを取って(テイク)して何を守るかを決めなければならない。現在の首長達が優れたリスク テイカになる事は諦めた方が良い。首長達こそリカレント教育が必要であるが、昭和の最終学歴(古い知識・廃れた知識・劣等な意思決定)で令和の問題に当たっている。シニアはそれでも首長達を支持する。
枯れない油田「仮想経済」
ならば若手は、若手のリカレント組を中心として米中の様に「ブロック経済」を創った方が良い。米国は資本主義のブロック経済、中国は共産主義のブロック経済を創りたい。光明はある。今はまだ緩いものの、少しずつ若手のコミュニティが各地で生まれてきている。この現象は平成時代にはなかった。六本木ヒルズだけだった。
その各地で生まれてきているコミュニティの起点を報道府は日々、報じている。起点やコミュニティの彼らに接触し、支持や強化をして皆と循環教育を受けていく。友がいれば、学びも捗るというもの。今は“緩く”の繋がりの期間だが、若手の「ブロック経済」なら、外部の敵に脅かされずに中堅・シニアになっても安定の人生でいけるだろう。
「実物(実体)経済」「金融経済」に併せて、新たに「仮想経済」が黎明期に入っている。この仮想経済は無尽蔵を取扱う。枯れない油田だ。その枯れない油田を若手は得るチャンスがある。固定概念があると、このチャンスに気が付けない。若しくは信じる事ができない。後は能力。知識にプラスすべきは人間関係(コミュニケーション能力)。他世代と自分から繋がりに行ける者が、枯れない油田を発掘(マイニング)でき、若手の仮想「ブロック経済」を構築する一員となれる。
記事:金剛正臣
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