三菱・三井住友・みずほ「富裕層ビジネス」の新体制出揃う

【人生報道】 令和二年八月一日に三菱UFJモルガン・スタンレー証券(CEO:荒木三郎)と三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券(代取:同)は合併する。前者が存続会社。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T1)の持分法適用会社である米モルガン・スタンレー(MS.N)との連携を強化し、富裕層ビジネスを国内仕様から世界仕様に変える。


日本経済新聞社は七月二十二日付で「三菱UFJは富裕層ビジネスを大幅に強化する」と報じた。七月下旬に存続会社の浜田直之 執行役員は、合併に関して時事通信社共同通信社、米ブルームバーグ等と立て続けにインタビュに応じ、合併後の展開を説明した。


浜田執行役員はウェルス マネジメント(WM)本部の部長を務める。ウェルス マネジメントでは人生そのものをサポートする。相続だけでなく、子ども教育も範疇。富裕層ビジネスとしては、世界ではこちらが標準で日本が後(おく)れを取っていた。その理由は人材育成。同社が想定する顧客は、総資産三億円以上と二十億円以上。一会社員が顧客の何億円もの資産を運用するには相応の知見が必要だった。合併の両社は人材を育成してきた。


合併後には、WM本部に両社から営業担当とフィナンシャル アドバイザを六百人ほど集める。二年以内に三倍程度の一千六百人まで増やしたい。


ポイントは“長期担当制”と“実績連動報酬”。七年から十年間を目安とする。時事のインタビュでは「顧客に寄り添い、信頼関係を築くには海外同様、異動のない長期の担当にすることが重要だ」と述べた。共同には「明日の資産構成(をどうするか)ではなく、(先々の人生設計といった)ゴールを聞いてサポートする」と話した。


他方、三井住友フィナンシャルグループ(8316.T1)は、七月に子会社で日本三大証券会社の一角を占めるSMBC日興証券(代取:近藤雄一郎)内にWM部署を立上げ。同じ三井住友グループに属するが資本関係がない三井住友トラスト・ホールディングス(8309.T1)は、来年にUBS証券(代取:中村善二)からWM事業を移管して共同出資の証券会社を設立する。


みずほフィナンシャルグループ(8411.T1)は、昨年より海外に住む富裕層にWM事業を強化している。更に七月二十二日には、地銀十行による広域連携の新会社設立も報じられた。


若手の新富裕層は然程でもないかもしれないが、シニアでは大手よりも地銀を信用する傾向もある。日本におけるWMの成功要因は“冷たさ”ではなく、“温かみ”だろう。銀行・証券業界は地殻変動が起きている。


記事:羽田野正法

写真:三菱モルガン証券が富裕層事業を強化 営業員の「生涯担当制」拡大/SankeiBiz

画像:三菱UFJ、富裕層向け人材1600人体制 22年までに/日本経済新聞、世界トップ級のモルガンSのノウハウ、三菱UFJが富裕層事業に本腰/Bloomberg

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