【経済報道】 経団連(代表理事:中西宏明)は、令和二年七月三十一日に英語『経団連・英国産業連盟共同声明』を発表した。日英「経済連携協定(EPA)」の実現を求める声明だ。
EPAとは、二以上の国(又は地域)の間で、自由貿易協定(FTA)の要素(物品及びサービス貿易の自由化)に加え、貿易以外の分野、例えば人の移動や投資、政府調達、二国間協力等を含めて締結される包括的な協定をいう(財務省定義)。
英国の名目GDPは二百九十九.四兆円(平成三十年)で世界五位。EU内で二位。最新「国際金融センタのランキング/Z/Yenグループ」では、首位の米・NYに続き、英・ロンドンが二位。三位は日・東京。以下は上海、シンガポール、香港。
ランキングでロンドン(City)は三位だが、「外国為替市場規模」では三百七十八.五兆円で首位(令和元年)。二位がNYの百四十五.〇兆円とWスコア。その他、国際的な「新規公開数」等でNYを凌駕している。投資等を含む日英EPAは欠かせない。これは実質的な経済同盟となる。
一方では、英米加豪・ニュージーランド「ファイブ・アイズ」への日本加入も取り沙汰されている。
報道現在で日英同盟は締結されてないが、平成二十九年には「安全保障協力に関する日英共同宣言」を両国が発表していた。日英同盟は明治三十五年に調印され、日英米仏「四カ国条約」により大正十二年に失効し、同盟関係は破棄されていた。中露北等の共産主義陣営と資本主義陣営の世界軍事とは切り離せない。
以下は本声明の仮約。
自由、民主主義、法の支配等の価値を共有する戦略的パートナーとして、日英両国は、強い経済的結びつきを築いてきた。両国間の貿易総額(物品、サービス)は二百九十億ポンド(約四兆円)を超える(平成三十年時点、英・国際貿易省)。
EU市場へのゲートウェイである英国には、一千以上の日本企業が拠点を設置し(外務省調べ)、雇用機会の創出や輸出拡大を通じて、同国の社会・経済の発展に貢献している。
英国のEU離脱に伴い、令和二年六月より日英EPA交渉が正式に開始され、現在大詰めの段階にある。貿易における実質的な関税撤廃・引下げ、サービス及び投資分野における市場アクセスの自由化について定めた日EU「経済連携協定(EPA)」によって両国が享受している貿易投資環境が後退する事がないよう、同協定を移行期間内に締結し、三年一月一日までに発効する事が不可欠である。
これはまた、英国とEUが野心的な協定を結ぶ必要性を明確に示している。
日英両国の経済界は、日英EPAが日EU「EPA」において達成された水準を維持するだけでなく、更なる自由で開かれた貿易投資の実現に向けたルールを具備する事を期待する。また、WTOのルール作りが現在停滞し、COVID-19の感染拡大に伴い多くの国に内向き志向が見られる中、同協定が強靭な枠組を構築する事により、“多角的貿易体制”を補完する事が期待される。
日英双方の企業が海峡を跨いで英国とEUで活動を展開している事から、英EU協定についても上記の時間軸で締結する事が同様に重要である事を重ねて付言する。
記事:羽田野正法
画像:British beef and lamb regains Japanese access/FOOD navigator.COM、別紙/東京都
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