【社会・政治ニュース】 平成二十八年四月に様々な分野で活躍するNGO/NPOが集まり、国連が合意・採択した文書「二〇三〇アジェンダ」における持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の達成に向けたネットワーク「SDGs 市民ネットワーク」が設立された。先に行われたG7伊勢志摩サミットでは、主要議題の一つに「二〇三〇アジェンダ/持続可能な開発目標(SDGs)」があった。
G7の直前、五月十九日に東京・霞が関「日本記者クラブ」にて『SDGsと市民社会=G7伊勢志摩サミットに向けて』が開かれ、国際NGOネットワーク「動く→動かす」事務局長の稲場雅紀、 国連広報センター所長の根本かおる、名古屋NGOセンター理事長の西井和裕が記者会見に臨み、SDGsの意味や市民社会の動き、国連の新映像の公開等を行った。
<エリートが把握しておくべき課題項目>
昨年九月、国連特別総会において全会一致で採択された「私たちの世界を改革する:持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダ」は七つのSDGsを含む、今後十五年の世界の進むべき道を示した画期的な合意文書だ。貧困・格差・気候変動等という課題を抱え、「このままでは世界は立ち行かない」という強い危機感を元にしている。市民社会を含む様々な主体が参加し策定した同アジェンダは、環境を守りつつ発展させて公正で安定した社会を作っていく為に、諸問題を解決する事を目指す。
SDGsとは『世界から貧困をなくす』『「続かない」世界を「続く」世界に変える』が目標。期限を四二年(二〇三〇年)に設定。発展途上国だけでなく、日本を含む先進国も実施する点が特徴的だ。その項目は十七。
- 貧困ゼロ
- 飢餓ゼロ
- 全地球人に健康と福祉
- 高品質な教育を皆に
- ジェンダ平等の実現
- 安全な水とトイレを世界に
- クリーンなエネルギを皆に
- 働きがいも、経済成長も
- 産業と技術革新の基盤を作る
- 人や国の不平等をなくす
- 住み続けられる街づくり
- つくる責任とつかう責任
- 気候変動への具体策を
- 海の豊かさを守る
- 陸の豊かさも守る
- 平和と公正を全地球人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
<個人が世界を変える手段>
SDGsが制定され、初のG7となった今年。エボラウィルスやイスラム国などのテロ問題、パナマ文書や異常気象等の地球規模問題がG7の大きな主要議題となった。SDGsはそれらの世界規模問題に着目した目標を掲げているが、知名度は極めて低い。そこで国連は、国民に対しての関心を集めるようにUNICEF親善大使の黒柳徹子を国連の公共広告に抜擢し、渋谷109、スクランブル交差点等の大型ヴィジョンにて放送を開始した。映像の内容は、各個人が世界の為に具体的に何から始めたら良いのかが分かるものだ。
国連・根本は「強調したいのは、発展途上国だけではなく、先進国も取り組む、という事。日本も子どもの六人に一人は、貧困ライン以下に置かれている、また様々な社会場面において女性の活動する割合は低い。そういった「普遍性」が大事なポイントだ。」とSDGsの重要性を、女性目線で強く語った。また「動く→動かす」・稲葉は「G7の首相は(現実的に問題解決を図れる)スーパースター。」と話し、彼らに対する期待を露わにした。
結果、どうなったか
五月二十日に政府は、「SDGs 推進本部(本部長:安倍晋三 総理大臣)」を設置し初会合を行った。構成員は全大臣。首相官邸は同会合における安倍総理の発言(画像引用)を公開した。
関係閣僚においては、G7伊勢志摩サミットの成果を基に、8月に初めてアフリカで開催されるTICAD、9月の国連総会に向けて、我が国がSDGsの取組において世界をリードするよう、緊密に連携し、政府一丸で取り組むようお願いします
またG7では、メインの成果文書『G7 伊勢志摩首脳宣言』をはじめ「質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則」「国際保健のためのG7伊勢志摩ビジョン」「女性の能力開花のためのG7行動指針」を発出し公開した。具体的に日本は、今後五年間で総額二千億㌦規模の質の高いインフラ投資を実施し、今後三年間で五千人の女性行政官等の人材育成と五万人の女子生徒への教育支援を実施する。
『SDGsと市民社会=G7伊勢志摩サミットに向けて/NPOアフリカ日本協議会、㈳セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン』
記者:原田眞吾×撮影:金剛正臣
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