ビジネス交渉の基本、それは印象(イメージ)

【ビジネス考察】 平成二十八年六月十六日に記事「中小企業庁が中小企業・小規模事業者を対象に価格交渉サポートセミナーを開催/産経デジタル」が配信され、中小企業庁による「価格交渉サポートセミナー」が中小企業や小規模事業者を対象に開催された旨が報じられた。中小企業等にとって、ビジネス交渉は大きな課題の一つである。


ビジネス交渉(ネゴシエイション)は、営業の基礎の基礎である。ただ、ここに注力している中小企業等は少ない。ビジネス交渉は、商品・サービスの善し悪しではなく、印象(イメージ)で決定される事が多い。経済学では、「レモン市場」が発生する原因の一つである。「レモン市場」は買い手の情報不足で発生する。裏を返せば、売り手が差し出す情報が買い手にとって優れていると判断する事に他ならない。




<交渉前に自社を知ってる状態に>

 当該記事のセミナでは法律による対抗が示されているが、実務的な訴訟能力や取引関係の維持を考えるとコスト高であろう。時節なので、選挙で考えよう。有権者は数多の立候補者から何を基準に選ぶだろうか。本来は政策や人柄で判断をするのだろう。現実は異なり、知名度が圧倒的に重要性をもつ。知らない立候補者より知っている立候補者だ。これはビジネス交渉でも通じる。


当該記事の様に交渉の対象が大企業である場合は、取引先の中小企業等は数多ある。品質が然程に変わらなければ、一番安い企業を選ぶ。しかし、ここで知名度が抜群ある中小企業等が現れたら、交渉現場は変わる。知名度の弱い中小企業等は値段や品質で勝負できなくなる。ポイントは、印象(イメージ)=知名度だ。



知名度を上げる手っ取り早い方法

 知名度を上げる方法は簡単だ。自社の強みをもって、プロモーションを仕掛け続ける事だ。大企業には広報がある。中小企業等にはあまりない。だから広報で勝つ。B2Bの業界内でもB2CのSNSでも良いので、プロモーションを仕掛け続ける。打開策はプレス向けイベントを打つ事だ。


例えば、B2Bだと業界展示会が有用だろう。その展示会内でプレス向けのイベントを実施する。その際にPR会社を利用する。当然にタレント(広告塔)が必要だ。予算的には、民放を呼べるタレントでなくとも良い。Webメディアが来たくなる様なタレントの起用をPR会社に頼む。WebメディアはSNSと相性が良いので、一見、知名度が低そうなタレントでもそれなりの効果を出すだろう。




<プレス向けイベントの効果>

 このプレス向けイベントを四半期(三ヵ月)に一回は行う。ネット上で自社の情報がニュースとして蓄積されて、業界内及び顧客内での知名度がじわりと上がる。一回では駄目だ。続ける事が大事だ。Yahoo!ニュース等に上がれば、上等だろう。イメージと異なり、Webメディア向けのイベント(会見等)は比較的に低額で実施できる。費用対効果は、通常の広告よりも良くなり易い。だから大企業群は著名タレントを使い、よく記者発表会を行う。


そして、自社SNSでニュースを転用(違法にならない様に気をつける)し、ビジネス交渉時に相手方へアピールする。故に一件のニュースではなく向上的にニュースがあれば(検索可能な状態)、相手方の自社への印象(イメージ)は変化してくる。これは短期戦術ではない。中長期戦術だ。十年以上、買い叩かれるよりましではないだろうか。まずは広報部隊からつくって、PR会社に相談してみては如何だろうか。ハイムが取材に行くかもしれない。

より実践的な交渉術については、記事「第6回  交渉戦略を立案する――事前準備の5段階アプローチ/日本経済新聞社、日経BP」等が詳しいだろう。

(了)


0コメント

  • 1000 / 1000