超辛口な言論NPO、自民マニュフェストを二十九点

【政治ニュース】 平成二十八年六月二十九日に言論NPO(代表:工藤泰志)は、『参院選二〇一六』で主要八党が発表したマニュフェストを採点し公式HP(グラフ画像引用)で公表した。既に時事通信等が報じた。同NPO独自のマニフェスト評価基準に基づき、「人口減少・少子高齢化」「財政」「社会保障」「地方再生・震災復興」「経済」「外交・安全保障」の六分野で実施。有識者二百九十四人へのアンケート調査や各分野の専門家二十名による公開議論により、争点を抽出した。


自民・公明・民進・共産の主要四党については、各党の政策責任者を招き、専門家との議論を行い、評価の参考にした。その結果、八党の公約の評価は、自民党で二十九点(百点万点)。「衆院選二〇一四」と比べ、公約が日本の将来や課題に対する解決プランとしてつくられていない、と評価した。主要四党の政策責任者は、自民・新藤義孝、公明・上田勇、民進・長妻昭、共産・小池晃。




<各政党の経済を視る>

 内、「経済」に関して特記する。同NPOは現状を、「企業収益の回復が賃金の増加や設備投資の増加につながる「経済の好循環」が期待されていたが、力不足が露呈している。」と結論づけた。原因は、消費税率引上げと異次元緩和による「トリクルダウン効果」でも地方経済はアベノミクスの恩恵が受けなかったこと、賃上げ要請しても賃金(実質ベース)が伸びずに消費の回復力が弱ったこと、円安になっても輸出の景気けん引力が高まらなかったことの四点を挙げた。



自民は三十点。形式と実質の二面で評価している。形式の内、最高得点は「理念」の六点(十点満点)、最低は「財源」の〇点(七点満点)。実質の内、最高は「体系性・課題抽出の妥当性」が八点(二十点万点)となった。


全体的に見ると、マニフェストの中身自体は体系的、戦略的で、数値目標や達成期限も入っている政策もあり、形式的には一定の評価ができるが、この3年半のアベノミクスの成果、特に第三の矢である成長戦略の進捗の遅さを見る限り、提示された政策では不十分である



公明は二十八点。形式は自民に同じ。実質は、「体系性・課題抽出の妥当性」と「課題解決の妥当性」が六点(二十点)となった。


公明党の独自色として、他の政党には明示されていない、政治改革と行財政改革が明記されている。政治資金規正法の監督責任強化は、これで十分かどうかは別問題としても、言及していることは評価される



民進は十五点。形式の内、最高は「理念」の五点で、最低は「達成時期」と「財源」の〇点(八点、七点満点)。実質は「体系性・課題抽出の妥当性」が三点となった。


今回の公約も全体的に見ると、耳触りの良い政策を羅列する一方で、その財源は何ら書き込まれていないという点で、実現可能性が大いに疑われる



共産は十八点。民進より高い。形式の内、最高に「理念」と「財源」の五点が入った。最低は「工程・政策手段」の〇点。実質の内、「政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任」が〇点(二十点満点)となった。


提案が政策ではなく、主張の域を出ておらず、それらがどのように内需を増やし、経済成長の好循環を作れるのか、政策論として合理的な説明がなされておらず、公約としての評価はかなり低くならざるを得ない





=解説=

 選挙時に各党が主権者に向って出す公約(マニュフェスト)。日本は事実上、政党を選ぶ選挙なので公約を読んで、投票する。しかし各党の公約を把握している主権者は少ない。各党もデザイン性を高め、分かり易くすることに努めているが、三十代以上は理解に乏しいだろう。


言論NPOの様に公約を比較し、公表することは大変に有益だ。サイト上でも一目で分かり易い工夫が随所に散りばめられているが、更なる見せ方が求められるだろう。NPOである為、資金や人材の面で厳しい点はあるが、国内において同レベルの比較と批評ができる言論機関は言論NPO以外いない。


画像上:自民党公式HPより引用

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