【教育報道】 東京都(知事:小池百合子)は、令和二年九月二十三日に都庁及びオンラインにて第一回『こども未来会議』を開催した。
百合子都政で初の試みであり、二期目の目玉の一つでもある。本会議は「子どもが笑顔で子育てが楽しいと思える社会」の実現に向け、従来の枠組みに捕らわれない幅広い視点で議論を行う。有識者・著名人等からの意見を汲み取るもの。
「東大」大学院の教育学・秋田喜代美 部長や「国連子どもの権利委」の弁護士・大谷美紀子 委員等の計五名で委員を構成する。座長は「東大」喜代美部長。必要時は本会議の委員以外の者を会議に出席させ、意見等を求める事ができる。都の基準により、規定の報酬も支払う事ができる。
原則、公開。プライバシ等に関するものは一部、非公開。
百合子都知事(壬辰)は、コロナ禍を念頭に「子ども達にとりましてはですね、様々な影響を与えてきた。子ども達の生活には様々な影響がある訳であります。」と挨拶。百合子都知事は春に自粛を声高に叫び、安倍内閣による緊急事態宣言を欲し、発出に至った。現在の、子ども達や保護者の環境は百合子都知事がつくったものである。
<反省があるから変わるもの>
「どの様にして子ども達を育んでいくのか。ま、如何なる状況下に於いても子ども達の学びを止めない。そして子ども達の笑顔を育んでいく、という事が何よりも重要かと考えております。」と、悪びれる気はさらさら無い。例えば、緊急事態宣言中に江東区等は区立公園内の遊具を使用禁止にしなかったが、都立公園は遊具を禁止にした。
コロナ禍による十代及び十歳未満の子どもの死者数は累計で〇人(「 新型コロナウイルス感染症の国内発生動向/厚労省」九月十六日時点)。
合計特殊出生率等にも触れ、「子どもを大切にする事を最優先にしていく。社会へのマインド チェンジ(考え方を変える事)が必要だと考えております。」と日本が目指すべき社会を述べる。百合子都知事は目指す所は素晴らしいが、手筈は拙い。統計や教育学を学び、改善して頂きたい。
第一回の議題は「子どもが笑顔で子育てが楽しいと思える社会の実現に向けて 新型コロナウイルスがもたらした変化と課題を踏まえて」。事務局は、子どもの居場所減やストレス増等を伝えた。コロナ禍の子どもの環境につき、「子どもの事を決める時、大人達は子どもの気持ちや考えを、よく聞いていると思いますか」の問いに、中高生の四割強が「そう思わない」と回答。小学生は七割弱が「そう思う」と回答していた。
上図は事務局が作成した。日本は子育て世代に当たりがきつい。今のシニア(意思決定者)達が自己中心的である証左。子育て世代へ聴く耳をもつ心が意思決定者へ必要だ。
一つ目のテーマは「コロナが齎した変化と課題、今後の子ども・子育て政策の視点」。まず「国立情報学研究所」の新井紀子 教授は、「低学年は兎に角、筆圧が落ちている。」と警鐘を鳴らす。板書を写す分量が減っている、という。中学年は理解力が問題。時計の見方が分からない等。高学年は未回答の増加を挙げた。
長期休校が与える影響として、学校で学ぶ際の基礎的スキルを板橋区・世田谷区の小学生に調査した結果を用いた。
本会議の委員の中で唯一の子育て世代である体操インストラクタ・小林よしひさは、「子育てに参加するパパの権利をより保障しよう。」と非・子育て世代の委員達に呼び掛けた。小林は一児の父。
非・認知能力の欠如がゆとり世代
二つ目のテーマは「子どもの笑顔の為に求められるもの、必要となる視点・アプローチ」。親の笑顔=子の笑顔や子どもの運動の機会の低下(体力低下とは異なる)等が挙がった。特に小林は「運動というのは非・認知能力、コミュニケーション能力等も養えると思います。」と認知能力(IQ)偏重の現代の教育に楔を打ち込んだ。現代の教育、子育てに足らないのは、この非・認知能力である点は、心理学博士・榎本博明が著作で大いに強調している。
子育てや教育を論じるのであれば、日本の七世代の現在を見れば良い。今の子ども達だけにフォーカスするのは間違っている。
本会議では発言者の言葉がオンライン上の不備の為に、ぶつ切りが散見。数十秒間も通信が途絶える事もあった。委員達のマイクの品質もばらばらで、委員達へ都が共通機材を貸し出すべきだ。何を言っているのか、聴こえない。第一に安定した議論ができる様に、オンライン会議を止めておいた方が良いだろう。「子ども(子育て世代)ファースト」ならば、ぶつ切り・籠りの会議は論外である。
オンライン会議では議論は深まらないもの。情報伝達に止めた方が良い。都のエリートは知られたい。
尚、本会議は計三回。第二回は十一月、第三回は三年一月を目途に開催予定。本会議の議論を長期戦略や子ども・子育て政策に反映させる。来年度以降も幅広い議論を展開予定。
記事:金剛正臣
画像:令和2年度 第一回 こども未来会議/東京都
0コメント