四十代からの勉強法をプレジデントからブラッシュアップ

【ビジネス考察】 令和二年十月八日に記事「六十代、五十代、四十代でやっておくべきこと、絶対やってはいけないこと/プレジデント」が配信。経営コンサルタント・小宮一慶(丁酉)等の三名が「最強の勉強法」と称してビジネスマンへ知の習慣を披露した。

四十代の若手が含まれているので、考察する。


小宮は「経営戦略」「マーケティング」「会計」の三つを挙げた。学ぶ対象としては違いないが、四十代から、というのは遅い。令和時代では、二十代・三十代から学ぶ対象だろう。特に経営戦略は知識として必要であるが、令和時代は、取締役会が経営戦略に則って組織を動かすのではなく、組織が経営戦略を構築するという逆流である。


また会計についても、小宮は簿記を軽んじる。確かに仕訳けの書き方は不要であるものの、財務三表を読み解くには簿記の知識が欠かせない。何の勘定科目が経営に大きな影響を与えているのか。その勘定科目は何に基づいて発生しているのか、を取締役会は知る必要がある。知らないから今の多くの中小にみられる様に数字遊びで終っている。生産性向上が実現しない


これは国家の財政と似ている。平成時代までは経済学で政策を決めていた。だが、令和時代は経済学で言うところのミクロ経済、即ち、経営学が国家の財政を左右する。会計はあくまでも簿記・会計であり、簿記なくば会計は読み解けない。会計は読めるだけで良い時代ではない。第四革命下では、経営コンサルタントの様に企業内データを以て分析し、知見・閃きを獲得する(ビックデータ解析の小さいもの)。



<五十代・六十代を前倒しでリカレント>

 天丼てんや等の外食事業を営むロイヤルホールディングス・菊地唯夫(乙巳)会長は、自社の属する業界の成功事例(ベスト プラクティス)の学びを推奨。これは正しい。だが、平成時代以前の成功である点は留意されたい。本の多読は特筆だ。本へのマーカーやノートにメモ等、アナログ的記憶の重要性を示唆。デジタル記憶よりもアナログ記憶の方が令和時代の「芸術経営(デザイン経営)」には向く。


世界史からヒントを得た点は覚えられたい。「PPM分析/経営学」も基本中の基本で、日々の業務でしっかりと押さえた方が良い点だろう。



彼らが五十代から勧めている事を四十代から始めた方が良さそうだ。仮説と検証による思考力の鍛錬、飲み会のドタキャン禁止、知の領域を空間と時間で拡張がそれだ。PBRやPER等の金融経済の知識は四十代までに正直、押さえたいところ。令和時代の日本政府は金融経済を推す事を明言しているのだから。


六十代では精神科医・和田秀樹(庚子)が推奨。和田は小説家や映画監督、東進ハイスクール顧問、政経の評論家でもある。彼は知識の加工力を挙げた。前頭葉の衰えを前提に、同じ著者の本ばかり読む危険性や“質の考え”より“量の発信”、探求心という具体を挙げた。


その知見は第四革命下で通用するか

 大方は優れている推奨案だ。だが、彼らは第三革命以前、日本の場合は第二革命後に成功してきた企業を診てきた。結果、日本のGDPは平成三十年間で欧米中と異なり、見事にゼロ成長であった。優れている推奨案だが、第四革命仕様に変える必要性があるだろう。さもなくばゼロ成長になる、と過去より見做せる。


彼らの考えを統合すると、スペシャリストではなく、ゼネラリストを推奨している様に伺える。第三革命下はITエンジニア等で分かる通り、スペシャリストが求められた。今でも求めている節があり、学校教育でもプログラミングを入れた。第二革命時にはOJT等でゼネラリストが求められた。ファッションと同じで定期的に変わるのかもしれない。少なくとも、これからはゼネラリストの時代。


経営・財務会計・IT・法務・人事(HR)・金融と令和時代の取締役に求められる事は、実に多彩だ。全てに通じる必要性は無いだろう。ただ簿記であれば三級程度、ITであればITパスポート、法務であればビジネス実務法務の三級程度等を取得すれば良い。あくまでもスペシャリスト達を適材適所する為の知識だ。



適材適所をできるゼネラリストへ

 政界では、麻生太郎(庚辰)財務相が政治家に成る前にきちんとビジネスマンをし、後に代取を務めた。よって簿記会計を理解している。この国の財務相は当然、簿記会計及び財務を理解していないといけない。だが殆どの国会議員は簿記会計も経営学も組織論も知らない。経験が無い。だから大臣という組織のトップになっても、スペシャリストを適材適所できない。それは過去を参照すれば容易い。


国家では話が大きいであろうが、どの様な大きな組織であろうとも、組織は組織に違いない。取締役に先ず、求められるのは規模観の設定である。零細フリーランスの十万・百万・一千万円なのか、中小の一億・十億円・百億円なのか、大企業の一千億・一兆・十兆円なのか。どの規模の組織に成りたいかで、取締役会の学びは変わる。一人の取締役がスーパースターである必然性は無い。


記事:羽田野正法

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