【社会ニュース】 平成二十八年九月二日に東京・浅草橋にて、作家で版画家、翻訳家、写真家の伴田良輔(甲午)による『おしりとひかがみ展/BACON』が開催した。入場料は五百円で午前十一時から午後七時。定休は毎週月曜日で十九日のみ営業。二十五日まで開催される。普段は猫等を撮影する伴田が、女性のパーツだけで展示会を開くのは今回が初めて。
伴田は二十年以上に亘り、女性の臀部を撮り続けた。その数、三万枚。六十歳になる直前の四年前程から膕(ヒカガミ、膝の裏のくぼみの事)も撮り始めた。性的倒錯の一つ「パーシャリズム」の初展示会は、二百五十点程が展示された。通常、伴田の女性作品はモノクロが主体である。主催者側がカラーをお願いし現実性を追求した。モデル集めにも苦慮するジャンルで、且つ一人の写真家となると国内では稀有である。
<エロスは時間の堆積が生み出す>
そして今回は、伴田があまり試した事がない特大サイズ(横幅;一㍍八十㌢程度)のパネルも三枚用意。伴田はモデルとの出逢いを“一期一会”とす。身体もその一部も顔や性格と同じで、注意深く観れば似ている様で全く異なる、伴田は作家という文字の観点から、パーツの一部からも、その人物を知るのだろう。
おしりもひかがみも女性の身体の部分でありまた、一人の女性の人生の歴史そのものだと思います。いま目にしている身体がここにあるために、彼女が生まれた日から長い時間が経っています。身体に宿るエロスとは、そのような時間の堆積が生み出した美なのです。
本物の美に触れる大切さ
また会場内は撮影が自由である点も特筆すべきで、撮影した写真は自由にSNS等で公開できるパブリック ドメイン的だ。パネル自体は受注販売だ。展示会終了後に伴田自らサインする。特大サイズで七万円位、A0で三万六千円位、A3で九千円だ。A1とA2もある。更に、伴田作品の関連グッツも販売。トートバックやクリアファイル等が並ぶ。
会場は直ぐに回れてしまう広さだが、各々の写真をじっくりと読み解けば、数多の女性の表情や人生、雅が浮かび上がってくるだろう。その女性が放つエロスというもの、美というものは一朝一夕には当然に成らず、取り繕えるものでもない事が、同展示会で腑に落ちる筈だ。写真一枚が安易に消費される現代において、数少ない芸術家に触れる機会である。そして何よりもエロス(アガペー)と卑猥は、全く異なるものである。神学、哲学、文学を否定する学びの薄い者が増えた現代には、遺憾の意を表明せざるを得ない。
併せて三日より十九日まで、渋谷「マルイ」にて写真家のゆりあによる「ふともも写真の世界展」が開催される。前回の浅草橋では延べ一万二千人が来場した。
『おしりとひかがみ展/㈱BACON』
撮影記者:金剛正臣
© FPhime
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