菅総理が初の『施政方針演説』、シニアの反対承知で子ども・若手・若者を助く

【政治報道】 菅義偉(戊子)内閣総理大臣は、令和三年一月十八日に第二〇四回・常会にて就任後初の『施政方針演説』を行った。昨年に臨時会にて行ったのは「所信表明演説」。施政方針演説以外にも外交・財政・経済の三演説も行われた。

施政方針演説は国会に於いて最も重要。本年の日本を占う。


菅総理は大別して以下の五つにつき、演説した。

  1. 新型コロナウィルス対策
  2. 東日本大震災からの復興、災害対策
  3. 我が国の長年の課題に答えを(グリーン・DX)
  4. 地方への人の流れをつくる(農業・観光)
  5. 少子化対策と社会保障の将来(年金)
  6. 外交・安全保障



<感慨一入の七十二歳>

 一で菅総理は二回目の緊急事態宣言につき、「国民の皆様には生活や仕事に御負担、御苦労をお掛けする中で、多大な御協力を頂きました。しかし今回、再び制約のある生活をお願いせざるを得ず、大変申し訳なく思います。」と謝った。


常会で改正案『新型インフルエンザ特別措置法』を政府提出(閣法)予定。昭和憲法上、初めて私権の制限(罰則)を盛り込む見込み。


企業の経営面と生活面に対し、「何としても事業を継続して頂き、暮らしと雇用を守っていく。それが、政治の責務です。」と語気を強める。企業への無利子・無担保融資では、四千万円の限度額を六千万円に引上げ、手続も簡素化する。併せて、公庫等が一定期間の返済猶予を更に行う等と柔軟に対応し、民間金融機関に対しても同様の対応を政府として要請する。生活面の緊急小口資金では、報道現在で既に五千億円を拠出した。


また「前年と比べ、自殺者が五ヶ月連続で増加し、とりわけ女性が顕著な傾向にある事態を重く受け止め、SNSを通じた相談窓口等により、不安に寄り添う体制を強化します。」とコロナ自殺へ対策を施す。併せて、児童虐待にも児童福祉司を五千人体制にし、早期発見に取組む。



DX減税・若手人材への支援・中小バックアップ

 三のDXでは、社内ソフトウェアから生産、流通、販売に至るまで、企業全体で取組むDX投資を税制によって支援する。


教育に関しては、小中学生に一人一台のIT端末を揃え、経済較差によらならいオンライン教育を実施する。博士課程学生への支援を拡大し、未来を担う若手研究者を育成する。十兆円規模の大学ファンドにより、若手の研究人材育成等の基盤整備を行い、世界トップ級の成果を上げる自律した大学経営を促す。今後五年間の予算目標は、「政府の研究開発予算」で三十兆円、「官民の研究開発費」の総額で百二十兆円。イノベーションを促す。


中小企業に関して「雇用の七割を支える中小企業を取り巻く状況は非常に厳しく、資金繰り支援を続けます。持続化補助金や手形払いの慣行の見直しを通じて、生産性の底上げを図り、賃金の上昇へと繋げます。更に、中堅企業への成長、海外市場への挑戦を後押しして参ります。最低賃金は、雇用にも配慮しながら継続的な引上げを図り、経済の好循環に繋げて参ります。」と述べた。


「国際金融センタ」では、税制を外国人の国外財産を相続税の対象外に、運用成果に応じた収入に係る所得税は二十%一律に適用する。



菅総理が若者・若手の為に政治生命を懸ける

 四の観光では、「国立公園等に於ける自然の中での宿泊体験や城や寺社、古民家での滞在等、地域に眠る観光資源を磨き上げ、滞在型観光やワーケーションを推進して参ります。」とワーケーションを強調。期待のB2G市場構築を菅内閣が牽引する。


五の社会保障で「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という構造を見直し、未来を担う子どもからお年寄りまで全ての人が安心できる社会保障への改革を進めていきます。」と意気込む。報道府が予てより訴えている「世代会計」の是正を菅内閣は本気で取り組もうとしている。


小泉内閣が世代会計の現実を世に知らせて以来、どの内閣も現役若手の是正へ本気で手を突っ込めなかった。選挙で大敗の恐れがあるからだ。その弊害が今の若手に押し寄せている(今の子ども世代への対策は安倍内閣が行った)。この菅総理の発言は、大変に勇気ある発言。



六では米・東南亜(ASEAN)・豪・印・欧州と連携。特に「ASEANは戦略的パートナであり、掛替えのない友人です。」と強調。日本の中小零細は、成熟した欧米よりも若く成長を続けている東南亜の方がグローバル展開し易いものと見込まれる。



最後に「憲法は国の礎(いしずえ)であり、そのあるべき姿を最終的に決めるのは、主権者である国民の皆様です。国民から負託を受けた政治家がその責任に正面から向き合い、与野党の枠を超えて憲法審査会の場で議論を深め、国民的な議論に繋げていく事を期待します。」と国民ありきの改憲である旨を訴えた。そして「一人ひとりが力を最大限発揮し、互いに支え、助け合える、“安心”と“希望”に満ちた社会を実現します。」と述べた。


日本の若者・若手にとって今が初めてのチャンスと知る

 確かに菅総理はプロモーションが拙い。だが、東北の漢としての実直さはある。その分、口は苦手なのかもしれない。今、若者・若手が求めるべきはプロモーションではなく、成果ではないだろうか。


シニアが取締役会の報道機関は、高齢で未曽有のコロナ禍に日々、対処する菅総理に対して五月蠅い(報道内容が碌に若者・若手の為にならない)。菅総理を次の選挙で推す価値はある。何故なら、菅総理は支持基盤のシニアの反対承知で子ども・若手・若者を助けようとしているのだから。


ひょっとすると、世代会計において若者・若手とシニアの較差(貧しい理由)を是正しようとするのは、菅総理が最後になるかもしれない。バブル崩壊後、三十年経って初めて来た較差是正チャンス。


記事:金剛正臣

写真:総理大臣官邸

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