【ビジネス・社会ニュース】 フィンテックには基本的な技術が三つある。「API(アプリケーション プログラミング インタフェイス)」「AI(人工知能)」『ブロックチェーン(分散型台帳技術)』は、社会を変える。ビジネスも生活も含んだ生き方を変える。フィンテックは、ファイナンスとテクノロジの造語だ。金融の世界だけでなく、世界の人々の生き方を変える。その理由を一部指し示したのが、平成二十八年十月五日に配信された記事「MIT、ヤフー、MS、経産省らが語る、ブロックチェーンはなぜ67兆円市場になるのか/SBクリエイティブ(画像引用) 」だ。
当該記事は、九月八日に開催された「ブロックチェーン・イノベーション二〇一六/国際大学グローバルコミュニケーションセンター」内のパネルディスカス「ブロックチェーンの安全性と汎用性を考える」をレポートした。登壇者は五名。日本IBM・高城勝信、経産省 課長・佐野究一郎、ヤフージャパンCISO・楠正憲、米MIT研究員・松尾真一郎、日本マイクロソフトCTO・榊原彰、主催ラボ代表・高木聡一郎。五名は『ブロックチェーン』の定義や安全性、課題、可能性について語った。
<使用例>
経産省(大臣:世耕弘成)は四月に「ブロックチェーン技術を活用したサービスに関する国内外動向調査報告書(概要)」を公表し、関連市場規模が六十七兆円に上る試算をした。佐野課長は、経産省が想定する五つのユースケース(やり取り)を例示。
- 価値の流通・ポイント化、プラットフォームのインフラ化(一兆円)
- 権利証明行為の非中央集権化の実現(一兆円)
- 遊休資産ゼロ・高効率シェアリングの実現(十三兆円)
- オープン・高効率・高信頼なサプライチェーンの実現(三十二兆円)
- プロセス・取引の全自動化・効率化の実現(二十兆円)
また経産省は先の報告書(概要)内では、別途に『ブロックチェーン』技術活用のユースケース「ビットコイン二.〇」も例示する。
- 金融系(決済、為替、証券取引等)
- ポイント・リワード(アーティスト向けリワード、プリペイドカード等)
- 資金調達(アーティスト エクイティ取引、クラウド ファンディング)
- コミュニケーション(SNS、メッセンジャー、取引)
- 資産管理(ビットコインによる資産管理、土地登記等の公証)
- ストレージ(データの保管)
- 認証(デジタルID、アート作品所有権・真贋証明、薬品の真贋証明)
- シェアリング(ライド シェアリング)
- 商流管理(サプライチェーン、マーケットプレイス、仮想資産の管理・移転等)
- コンテンツ(ストリーミング、ゲーム)
- 将来予測(未来・市場予測)
- 公共(市政予算の可視化、投票、バーチャル国家等)
- 医療(医療情報)
- IoT(マイニングチップ等)
IBM・高城は、自社独自のユースケース十二例を挙げた。
- 仮想通貨
- 国際送金
- 証券取引
- 資産管理
- 契約管理
- 保険
- 貿易金融
- サプライチェーン マネジメント
- IoT
- 本人確認
- 自立分散型組織
- スマートグリッド
米国の圧倒的投資額
日本は、スタート段階の『ブロックチェーン』を含むフィンテックの分野で後塵を拝している。主力メガバンクや大手ネット企業が推し進めるものの、経済大国第三位・日本のフィンテック企業に対する投資額は、世界的に視ても非常に少ない。一昨年で五十六億円だ(アクセンチュア調べ、以下の金額・件数同じ)。世界首位は米国の一.二兆円。日米比で二百十四倍もの投資額の差が、一年で起きた。経済大国第二位・中国は三百四十億円。英国は米国に続き、六百三十五億円。インドは百四十一億円でドイツが八十五億円だ。
世界の投資件数は、一昨年以前の七年間で三倍の七百件を超えた。このままでは、世界的プラットフォーマとなった「GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)」の様にフィンテック分野も米国企業に主導権を取られ兼ねない。メガバンク系とネット大手、ベンチャの連携が欠かせないだろう。障壁は日本人の心にある阻害性だ。国内で阻害し合っている間に、漁夫の利が起こる。
記者:金剛正臣
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