子への「懲戒権」と「嫡出推定制度」見直し、意見募集|民法(親子法制)等の改正に関する中間試案

【教育報道】 法務省(大臣: 上川陽子)は、令和三年二月二十五日から四月二十六日まで『民法(親子法制)等の改正に関する中間試案』について国民からの意見を募集している。「懲戒権」「嫡出推定制度」等に関して。


懲戒権は民法・八百二十二条。懲戒権の法益は「子の(現在的・将来的)利益」。

親権者は、監護教育のために必要な範囲内で、子を懲戒することができる



児童虐待を正当化する口実になっている、との二月「民法(親子法制)部会・第十四回会議」での指摘より、下記三つの案が提示された。


  1. 本条そのものを削除
  2. 本条を改める;親権を行う者は、その子に対し、第八百二十条の規定による監護及び教育のために必要な指示及び指導(または助言)をすることができる。ただし、体罰を加えることはできない(助言の場合は但し書きの削除も)。
  3. 同上;親権を行う者は、第八百二十条の規定による監護及び教育を行うに際し、体罰を加えてはならない。 



<体罰の前提と子の人格尊重>

 ここでの体罰の前提は「子に肉体的な苦痛を与える事」「その肉体的苦痛が子の問題行動に対する制裁として行われる事」が要素。殴る・蹴るといった暴力のみならず、例えば長時間の正座や食事を与えない事等も含み得る。


併せて、本部会は上記の二要素を満たすか否かは「一義的に決まるものではなく、当該子の年齢、健康、心身の発達状況、当該行為が行われた場所的及び時間的環境、当該行為の態様等の諸条件を総合的に考え、個々の事案毎に判断する必要があると考えられる。」と揺らぎをもたせた。



二及び三の八百二十条は以下。

親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。


本条を以下に改める案がある。

  1. 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする「義務を負い、権利を有する」。
  2. 親権を行う者は、一の監護及び教育に際して、子の人格を尊重しなければ ならない(罵詈雑言等への抑止)。

嫡出推定制度では、以下の三点に着眼した。


  1. 嫡出の推定の見直し等;婚姻から二百日以内に生まれた子は「夫の子」と推定、離婚且つ元夫以外と再婚後に生まれた子は「再婚後の夫の子」と推定
  2. 女性の再婚禁止期間の見直し;民法・七百三十三条の撤廃を検討
  3. 嫡出否認制度の見直し;「否認権者」を未成年の子に拡大(子の否認権は、母または未成年後見人が代わって行使)、「母の否認権」は要否を引続き検討、「嫡出否認訴訟」の提訴期間を伸長、
  4. 夫が子の出生を知った時(子又は母の場合は子の出生時)から三年ないし五年間とする案を引続き検討

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