【芸能ニュース】 平成二十八年十月二十六日に東京・六本木にて、アジア・オムニバス映画製作シリーズ『アジア三面鏡二〇一六:リフクレクションズ/TIFF』記者会見が開催された。映画「SHINIUMA Dead Horse」の監督を務めた比ブリランテ・メンドーサとルー・ヴェローソ、映画「鳩 Prigeon」の監督を務めた行定勲と津川雅彦とシャリア・アマニ、映画「Beyond The Brigde」の監督を務めた柬ソト・クォーリーカーと加藤正也とチュムヴァン・ソダチヴィーが登壇した。
本企画は、TIFF(東京国際映画祭)と国際交流基金アジアセンターが五輪に向けて、アジアの才能を世界へ発信しアジアにおける未来志向の映画系ネットワークを構築する。テーマがアジアで共に生きるの『リフクレクションズ』は第一弾となり、TIFF二〇一六内で上映された後に、その他の映画祭でも上映する予定だ。
<アジアの意見を知る事で見える、次の一手>
比・メンドーサ監督は、自国以外での撮影と北海道の雪が初めての中で挑んだ。日・行定監督は、ロケ地のマレーシアでの環境が自国と異なるとし、現場の緊張感と仲の良さを挙げた。日本の方が緊張感が高く、マレーシアの現場では「怒っちゃいけない。だから自分でも何でもやっていた。」と、やや嘆いた。柬・クォーリーカー監督は、低予算の中で日本ロケが行えず、母国内で工夫を凝らしながら撮影した事を伝えた。
同オムニバスにかかる役者側の意見として。コメディアンでもあるヴェローソは、自国にもある“おじき”が日本と異なる点に言及し、生活慣習を学ぶ機会になったと述べた。津川は、アマニに誤解を与えてしまったと憂えた。役に入り込んだ津川は、共演者に見向きもしなかった為に、アマニは距離感を感じていた。これは日本の役者の徹底ぶりとも云える。その後、誤解は溶け、アマニは津川の役作りを情熱的・献身的と表現した。加藤は、「演じる事でカンボジア(クメール人)を学んだ。」と、仕事をきっかけに異国の文化に触れる重要性を語った。特に、日本の文化である陶器の修理技術「金繕い」を柬・クォーリーカー監督により教わった点に内省した。
日本に求められる越境
記者より今後の日本映画の期待を問われ、行定監督は二十年前から想っている「一つのアジア」を前提に“越境”を挙げた。今は“越境”の時代で、TIFFへ“越境”企画を要望した。津川は、「アジア内で日本映画を発展させる意志が無かった事を恥じている。」と経済・政治よりも先に、映画によるアジア内文化等の相互理解を求めた。国内配給会社の認識に“恥ずべき”と断じ、アジア進出を推した。
加藤は、現地で働く事の大切さを述べた。そして「向こうからも受け容れ易い様に。」と、アクセプトの精神を唱えた。報道を例に挙げ、現地の人が現地で伝える重要性に触れ、映画がもつ一つのジャーナリズム性を暗に示した。
『アジア三面鏡二〇一六:リフクレクションズ/TIFF』記者会見
写真提供:㈶ユニジャパン
記者:金剛正臣
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