一億円集めた塾長・百合子、問われる組織論と方向性

【政治考察】 平成二十八年十月三十日に小池百合子(壬辰)都知事は、政治塾『希望の塾』の開講式を東京・池袋で行い二千九百二人が入塾した。小池都知事は塾長を務める。同塾の応募自体は四千八百人以上で、入塾率は六割。入塾者の女性比率は四割となった。第一期は二十九年三月まで。講義等は月に一回で全六回。男性が五万円、女性は四万円、学生は三万円だ。一講義あたりで五千円から八千円程度となる。そして同塾は今回、一億円近くを集めた事になる。

報道現在で、十一月十八日まで追加募集も開始している(十二月から参加可)。



入塾には審査があった。合格した場合にのみ入塾の手続きが知らされる。審査内容は六点。内、三点は該当者のみなので、未経験者は三点が審査の対象だ。


  1. 学歴職歴
  2. 所属政党および政治団体 ※過去の所属も含む(該当のみ)
  3. 選挙歴、政治活動歴(該当者のみ)
  4. 賞罰(該当者のみ)
  5. 志望動機を四百文字程度で説明
  6. あなたが考える「都政改革に必要なこと」を八百文字程度で説明


六で分かる通り、都政の改革のシーズやアイデアも広く募った。八百文字は原稿用紙二枚分なので、それなりの考えが必要であろう。もし応募者が全て審査していれば、合格率は六割となる。優秀な人材を集める技術として評価できる。



<注目の中身は>

 同塾では、「都政改革」に関連するテーマや「地方自治」「議会・選挙制度」「財政・税」「福祉・医療」等が学ぶ。ネット上でも講義動画を配信する予定だ。「夕刊フジ/産業経済新聞(三十一日付け)」は同塾が自民・民進等の分断を仕掛け、国政を意識しているとの都議会関係者のコメントを一面に載せた。「日刊ゲンダイ/講談社(同日付)」は三面で新党旗揚げとは程遠いと、当日の講義内容より座学主体の中身は肩透かしと表現した。


ハイムとしては、小池塾長の組織運営力を注視したい。第一期生の三千人を如何に束ねていくのか、それとも生え抜き(エリート)だけを戦力にするのか。維新は成功していると言い難い。閣僚として防衛省と環境省、そして東京都と一行政機関の長としての実力に特段の問題は無いであろう。然し、それは税金を元とした公務員を従えているに過ぎない。橋下徹(己酉)の「維新塾」も同じであるが、組織論が欠かせない。組織論が無くば、大成はしない。小池も橋下も民間的組織論に疎い。そういった観点では、自民は強い。「TOKYO自民党政経塾」等に加え、松下政経塾(高市早苗や野田佳彦、前原誠司を輩出)等の経済に強い私塾ともパイプを持つ。



経済・経営に強い政治家を

 二十一世紀の日本の政治塾は、政治論者(政治屋)ではなく、経済人(経営者)を育てるべきではないだろうか。タリーズコーヒーを日本に持ち込み、成功させた松田公太が党首の時代の「元気会(現党首:アントニオ猪木)」の様なビジネス系政党が、潜在的ニーズとしてエリート国民に求められている。要は経済的・経営的実力者が政治家に、という観点だ。何故ならば、この国の経営陣(司法・立法・行政)に現実の国民生活と乖離した見地に立っている様に見えるからだ。その原因は経営が未経験なせいではないか。


ITが世界を牽引している。ならばITに強い政治家がいれば、優れた法律や条例を創れるだろう。大企業の経営者であれば、大企業にとってメリットが強い法律や条例。中小・零細企業の経営者であれば、中小・零細が助かる法律・条例が。女性企業家であれば、女性従業員に優しい法律・条例が創れるのではないだろうか。実業家が入りたくなる政治塾、「希望の塾」はその様な政治塾に成る事を期待したい。その様な塾は、日本経済を根底から変える輩出者と成る。

現代の政治塾には現代に則した教育方針と、そもそもの組織論が求められる。


画像引用:「希望の塾」公式HP

記者:金剛正臣


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