都は映画祭へ予算増、都知事「必要な所にはお金をつける。」

【社会ニュース】 平成二十八年十一月三日に東京・六本木にて、『第二十九回 東京国際映画祭 クロージングセレモニー/ユニジャパン』が開催され、各賞の受賞者と小池百合子(壬辰)東京都知事らが登壇した。


昨年に設立された日本映画界への貢献が目覚ましい人に贈られる「ARIGATO(ありがとう)賞」には、俳優の妻夫木聡(庚申)、女優の高畑充希(辛未)、映画「君の名は。/東宝」の監督を務めた新海誠(癸丑)、そして「シン・ゴジラ/東宝」から異例となるゴジラが選出された。

妻夫木は「日本映画に触れ、監督を始めキャスト、スタッフで良い物を作るという事を学んだ。これを励みに一からスタートを切りたい。」と語った。グレーのベルベット ドレスに身を包んだ高畑は「この様な賞を頂き、ゴジラさんと一緒に壇上に上がるなんて夢にも思わなかった。運とご縁で、ここまで来れた。恵まれている十年間です。」と感謝を述べた。また新海監督は「よく“新星現る”と言われるが、僕自身は十年前から普通に作品作りを行ってきた。しかし今回、良くも悪くも発見してもらったのは嬉しい事。これからも物作りは変わらない。」と語った。スタッフ、キャスト、音楽を担当したバンド「RADWIMPS」と共に頂いた賞と述べた。




<グランプリは独クリス・クラウス監督の「ブルーム・オヴ・イエスタデイ」>

 また「SAMURAI賞」には黒沢清(乙未)監督、マーティン・スコセッシ(壬午)監督を選出。スケジュールの都合上、出席できなかったスコセッシ監督のビデオ メッセージを見た黒澤監督は「スコセッシ監督と肩を並べて賞を頂けるのは未だ信じられないが、メッセージを見て本当に賞を頂いたという事を実感した。」と心から喜びを表した。他にもスプラッシュ部門・作品賞には「プールサイドマン/大田原愚豚舎」、アジアの未来部門・国際交流基金アジアセンタ特別賞には「ブルカの中の口紅」からアランクリター・シュリーワースタウ、作品賞には「バードショット」がそれぞれ受賞した。


本映画祭で栄えある「東京グランプリ/東京都知事賞」を受賞したのは「ブルーム・オヴ・イエスタデイ」。日本を含め、世界でヒットを記録した「4分間のピアニスト(二〇〇七)/ギャガ」のクリス・クラウス(癸卯)監督による作品で、ホロコーストという重い題材を、ユーモアや恋愛を交えて鮮やかに映し出した。クラウス監督は受賞について、ほっと息を漏らし「非現実でシュールな気分。この映画を作るのは簡単ではなかったが、この賞によってドイツやフランス、そして日本でも公開される事を期待する。」と胸の内を明かし、大勢のスタッフやキャストに感謝した。また本作は「WOWOW賞」も同時受賞となった。



五輪時に最大のチャンス

 「観客賞」には美女コンテストで優勝をしたトランスジェンダの死後を描いたフィリピン映画「ダイ・ビューティフル」、「最優秀男優賞」には本作からパオロ・バレステロス(壬戌)、「審査員特別賞」にはサーミ民族の少女の人生を描いた「サーミ・ブラッド」、「最優秀女優賞」には本作からレーネ=セシリア・スパルロク(丁丑)、「最優秀監督賞」にはクロアチアのある女性・マリヤナの家族について描いた「私に構わないで」からハナ・ユシッチ(癸亥)監督、「芸術貢献賞」には中国の農場をテーマにしたモノクロ映画「ミスター・ノー・プロブレム」が選ばれた。


小池都知事は冒頭に大勢の海外からの観客に感謝と受賞者に祝福を述べ、「今年は過去最高となるコンペティションへの応募があり、毎年多くの新しい逸材がこの東京から世界へと羽ばたいていく事を大変嬉しく思う。」と語った。また「オリンピック二〇二〇」のホストシティである東京での映画祭は、日本の文化を発信する最大のチャンスとし、「東京都が同映画祭に支出している予算は去年より増やした。つまり必要なところにはお金をつける。素晴らしい文化の発信の地としての東京をもっとこれからもアピールしていきたい。」と述べると、観客からは拍手が起こった。


本映画祭の上映作品は全二百六作品、劇場総動員数は六万人を超え、レッドカーペット等イベントの動員は約十二万人となり、熱気のある十日間となった。


『第二十九回東京国際映画祭 クロージングセレモニー/㈶ユニジャパン』


画像提供:東京国際映画祭 (c)2016 TIFF

記者:原田眞吾

0コメント

  • 1000 / 1000