東京の成長戦略の中核『国際金融都市・東京のあり方懇談会』が第一回

【ビジネス・社会ニュース】 平成二十八年十一月二十五日に都庁にて、東京都(知事:小池百合子)は第一回目となる『国際金融都市・東京のあり方懇談会(座長:斉藤惇)』を開いた。本会を都における成長戦略の中核に位置付ける。アジア内の好敵手は香港とシンガポールだ。目的にアジア首位の国際金融都市へ奪還とし、金融東京の構造的・本質的な課題を克服する。


本年は第一回で最後。来年に六回の懇談会を予定し、来年十一月に都の最終提言として「東京国際金融都市構想(仮称)」を策定する。本会に掛かる議事録及び資料は原則、公開。出席メンバには報酬を支払う事ができる。


小池都知事は冒頭に「金融の活性化はアベノミクス、東京の活性化においても不可欠です。東京の国際競争力はどの程度なのか、(東京は)どうあるべきなのか。見えない参入障壁まで踏み込んでいく。」と、世界の金融都市の標準と比較しながら、資産運用業務やフィンテック等で本会の議論を行っていく。特に受託者責任(フィデューシャリー・デューティ)の徹底を進めていく事を期待した。

本会のメンバは以下の通り。



  1. 都知事:小池百合子
  2. 国際資産運用センター推進機構 理事:有友圭一
  3. 日本証券業協会 会長:稲野和利
  4. 日本投資顧問業協会 会長:岩間陽一郎
  5. 日本ベンチャーキャピタル協会 会長:仮屋薗聡一
  6. 早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授:川本裕子
  7. 全国銀行協会 会長:國部毅
  8. KKRジャパン 会長(前日本取引所グループ 取締役):斉藤惇
  9. インテグラル 代取:佐山展生
  10. 公認会計士:須田徹
  11. お金のデザイン 取締役:谷家衛
  12. 日本損害保険協会 副会長:牧野治郎
  13. 日本銀行決済機構 局長:山岡浩巳
  14. シティ オブ ロンドン グリーンファイナンス イニシアチヴ 議長、スカンジナビスカ・エンシルダ(SEB)銀行 英国地区 代表、騎士学士:ロジャー・ギフォード閣下
  15. 国際銀行協会 会長:ジョナサン B.キンドレッド
  16. ウィズダムツリー・ジャパン CEO:ジェスパー・コール




<まずは世界三位を、KABUTO町>

 第一回では、「今後検討すべき論点」が出席メンバより挙げられた。斉藤座長は三枠を提示。一、諸外国と比べて遜色の無いビジネス面・生活面の環境整備。二、新プレイヤの市場への参加促進。三、世界の投資家に優しい市場の構築。一では税制の見直しや参入障壁、投資教育の充実を強調。二はフィンテック育成、三はコーポレート・ガバナンス・コードの遵守を推した。


「国際金融センタ インデックス(二十八年九月)/英・Z/Yenグループ」では、東京は五位。首位から英・ロンドン、米・ニューヨーク、シンガポール、中・香港。斉藤座長はITとグローバルが組み合わさって無かった、と東京が成長してない点を反省した。「ビジネス環境インデックス(二十八年六月)」の日本は、ビジネスのし易さで三十四位、始業で八十九位、資金調達で八十二位、税制で七十位となっている(百九十ヶ国が対象)。安倍政権の成長戦略では、三十二年迄に先進国で三位以内を目指している。



成長の主軸はフィンテックだが

 Vキャピタルからフィンテック企業への年間投資規模は、昨年で米国が八千三百四十五億円、英国が五千百四十七億円、日本は八十三億円と雲泥の差だ。海外メンバはフィンテックへの強い言及があったが、国内メンバからは然程、言及が無かった。また海外の資産運用会社からの声として、実態あるベネフィット(利益)や国内投資家との出会いの少なさが挙げられた。


本会の末尾に小池都知事は、「三十年間、これ(東京の国際金融都市としての向上)を繰り返しているけれども、未だ何も進んでいない。」とNATOへの比喩表現「No Action,Talk Only」を例に対策の実行を促した。更に先日に発行した都のグリーンボンド系「東京環境サポーター債」百億円分は即日完売となった点も伝えた。金融分野においても、小池都政は国や東証と連携していく。


「兜町(Kabuto)/日・東京」は、「シティー(City)/英・ロンドン」や「ウォール街(Wall St.)/米・ニューヨーク」、「中環(Central HK)/中・香港」の様にエンタメを利用した知名度の向上が必要であろう。


『国際金融都市・東京のあり方懇談会/東京都』

撮影記事:金剛正臣

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