「生まれた命を最後まで」ペットの終生飼養のための大事な方法

【社会考察】 平成二十八年九月に開催された『HAPPYあにまるFESTA二〇一六/動物環境・福祉協会Eva』では、動物法務支援ネットワーク(以下、「動物ネット」)の副代表・中島まり子、事務局員の田代さとみによる講演「命を最期までー私たちにできること」が行われた。ペットの見守り遺言・信託についての知識提供の場だ。動物ネットは、神奈川県の行政書士を中心に弁護士や税理士、社労士等のペットをこよなく愛す士業グループ。終生飼養をテーマに、飼い主とペットを法律面からサポートする業務を行う。


講演では、飼い主がペットを飼えなくなった理由の統計を発表。犬の場合では、統計全体のトップを占める三十九㌫が飼い主の病気・死亡となっており、終生飼養をしようとしても病気による入院、死亡で飼育できないのが現状だ。ペットを飼う年代は五十代から六十代が最も多い。「まだ元気」「まだ大丈夫」といった無責任な判断が、ペットの居場所を失くす要因となっている。またその家族も家庭環境やアレルギー等の理由で引き取り不可でもあるにも関わらず、「自分が亡くなっても家族が引き取ってくれるだろう。」という安易な願望が、死後に悲しい結果へと繋がってしまう。そこで必要とされるのが、ペットを見守る為の方法だ。




<遺言・契約・信託・後見>

 今回、取り上げられたのは以下の四つ。

  1. ペット見守り遺言(負担付遺贈)
  2. ペット見守り契約(負担付死因贈与または生前贈与)
  3. ペット見守り信託
  4. ペット見守り後見


上二つは、主に飼い主と新しい飼い主との間によるもの。信頼できる家族または第三者に、終生飼養を行う事を条件に財産を譲渡する。遺言に比べて契約は効力が高く、後年に断れない点が特徴だ。三の信託は、飼い主が信頼できる人にペットと財産を託し、飼育できなくなった際に新しい飼い主に飼育費を定期的に渡してもらう、というものになっている。四の後見は、主に認知症対策となっており、もしもの時に備えて行政書士等と任意後見契約を結び、新しい飼い主が見つかるまでのサポートを行ってもらう仕組み。



「ペット先進自治体」の誕生は何時か

 その他にも様々な終生飼養方法があり、動物ネットは飼い主と最適な方法を選び、一緒に考えている。事前に対策を行う事が、殺処分ゼロに繋がると強く伝えた中島副代表は「年齢に関係なく、ペットの飼育に苦痛を感じた時が、遺言の書きどきである。」と述べ、ペット飼育者へ大事なペットを守るための術を取り、救える命を増やしていきたいと語った。


ペットを飼う際には、自身とそのペットの死後手続きを知っておく必要があるだろう。最初の引き渡し時にマニュアルではないが、万一の為の資料を飼育者に渡しておけば、各々が対策を講じれる筈だ。この実現には、各自治体が域内のペット業者と共同して取り組む姿勢が求められる。引いて言うならば、「ペット先進自治体」として世間にPRする事で安定税収も見込めるだろう。求められる「ペット先進自治体」。

また十一月二十三日にEvaは、動画「クリスマスにペットを買わないで!」を公開し、商用ペットの購入に警鐘を鳴らした。


『HAPPYあにまるFESTA2016/㈶動物環境・福祉協会Eva』



記者:原田眞吾×撮影:金剛正臣

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