【政治考察】 矢張り、ゆとり世代は賢い。令和三年四月二十九日に会社員の文筆家・御田寺圭が記事『立憲民主党が「ただしい」のに支持されない理由/講談社』を寄稿した。優れた分析力で的を射ている。厳しい論調だが、応援歌でもありそうだ。立憲(代表:枝野幸男)は、当該記事を大いに活用した方が良いだろう。
御田寺の年齢は非公表であるが、記事内で「年代は私と同世代で、二十代後半から三十代半ばくらいではないだろうか。」と、ゆとり世代と推定できる。当該記事の末尾には「啓蒙は開拓ではないのである。」と核心を突く。以下は小見出し。
- 「枝野幸男内閣」の波紋
- よく言えば「自由で個性的」だが…
- 雇用よりもSDGs
- 若者はみな「進歩的」なのか
- 想像力が欠けている
特筆すべきは、一での明治憲法下「憲政の常道(失政によって内閣が倒れたなら、次の組閣は野党第一党に委ねられるという政治的な慣例)」。二、三十代でここまで行きついていたら、相当な勉強家であろう。臨時「枝野内閣」の発言の事だ。野党第一党が総理となったら、適宜、総選挙において国民の信任を仰ぐ。詰まり、国民は、何らかの政権運営でダメだった与党と臨時の野党を比較できる為、総選挙で判断し易いメリットがあった。
他にも、代表自体は中庸だが同党の国会議員が左派な点や氷河期世代への未アプローチ、自民(総裁:菅義偉)に対する器の小ささ等を指摘。御田寺が指摘する内容を改善すれば、支持率が劇的に改善しそうでさえある。一重に優れた分析力だ。
<Z世代と表現する非科学性>
ただ一点、賢きゆとり世代としては、見合わない表現があった。「Z世代」だ。このZ世代という定義は曖昧さが尋常ではない。欧州系投資銀行クレディ・スイスに関する記事「Z世代は資産形成が難しいとクレディ・スイスが予測…パンデミックで最も大きな打撃を受けた/ビジネスインサイダー」を参照して貰いたい。以下が、欧米の世代定義。
- Z世代(1990年代半ばから2000年代前半生まれ)
- ミレニアル世代(1980年から2005年頃生まれ)
- X世代(1965年から79年頃生まれ)
- ベビーブーマー(1945年から64年頃生まれ)
この定義で調査をし、先の見出しとなった。さて、当該調査を信用べきだろうか。「Z世代」と検索してみよう。以下が表示される(報道現在)。
- Z世代とは、日本では1990年後半頃から2012年頃に生まれた世代を指します
いい加減にも程がある。まるで感覚だ。データサイエンスの時代に、致命的な揺らぎが「Z世代」という呼称にはあるのが気が付いただろうか。統計上、用いてはいけないのが「Z世代」。演算された結果が滅茶苦茶になってしまう。よって、報道府は曖昧模糊なスラングは使用せず、確定的な「ゆとり世代」「脱ゆとり世代」を使用する。
Z世代を使用する者ないし媒体は、非データサイエンス(非科学的)である事を注意されたい。環境省(大臣:小泉進次郎)も非科学的な呼称を使っている始末だ。
社会主義・改
同じゆとり世代で叡智が、もう一人いる。「大阪市大」大学院 経済学研究科・斎藤幸平(丁卯)准教授だ。新著は『人新世の「資本論」/集英社新書』。三百七十五頁の力作。現在のアングロサクソンが支配する世界を「帝国的生活・生産様式」とし、「晩期・マルクス経済学(脱成長コミュニズム)」を支持している。環境問題を好転させたい。
周知の同経済学は晩期よりも前のものであり、晩期の「脱成長コミュニズムが世界を救う」とする。資本主義に対する「社会主義・改」とも云える。コミュニズムは共産主義の意だが、斎藤の意味する所は異なる。平等で持続可能な脱成長型経済。本書は、理論として非の打ち所がない。
しかし、現実はどうか。上図を見れば分かる通り、CO2一つをとっても中国(主席:習近平)と米国(統領:ジョセフバイデン)が圧倒的である。斎藤が説得しなけばいけない相手は、資本主義の米国よりも社会主義の中国であると言えよう。更に、既に中国もエントリしている金融経済についても、考察・打開策が必要ではないだろうか。
世界は、中国国家資本も含めたグローバル金融資本で構成されている。彼はまだ若いゆとり世代なので、中国と米国が唸る程の理論構築に期待したい。
以上より、ゆとり世代は揶揄すべき呼称ではない。彼ら等の様に他の世代に対して誇るべき呼称である。自信をもって切磋琢磨されたい。
画像:御田寺圭/現代ビジネス、FPhime、3-1 世界の二酸化炭素排出量(2017年)/JCCCA
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