新条例『東京都こども基本条例』

【教育報道】 都議会(議長:石川良一)は、令和三年三月二十六日に『東京都こども基本条例』を全開一致で可決・成立。四月一日より新条例が施行された。全十七条。


 子どもは、大いなる可能性を秘めた掛替えのない存在である。社会の宝である子どもは、また社会の一員でもあり、あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要がある。


子どもの権利条約では、子どもに対するあらゆる差別の禁止、子どもの最善の利益の確保、生命・生存・発達への権利及び子どもの意見の尊重を一般原則としている。全ての子どもが誰一人取り残される事なく、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならない。


「子どもを大切にする」視点から、子どもの権利条約の精神に則り、子どもの目線に立った政策を推進していく事は、様々な人が共に暮らす、多様性に富んだ国際都市東京の使命である。また、新型コロナウイルス感染症は人々の生活に大きな変化を齎(モタラ)し、取分け子どもへの影響は顕著である。如何なる状況下においても、子どもの幸福を追求していく事が何より重要であり、東京都が為すべき責務を明らかにしなければならない。


こうした認識の下、子どもの笑顔が溢れる社会の実現に向けた基本理念及び東京都が取組むべき施策の基本となる事項を定め、子どもの健やかな成長に寄与する事を目指し、この条例を制定する。


  1. 目的)この条例は、子どもの笑顔が溢れる社会の実現に向けた基本理念及び東京都が取組むべき施策の基本となる事項を定める事により、子どもの健やかな成長に寄与する事を目的とする
  2. 定義)この条例において「子ども」とは、十八歳に満たない者をいう。尚、子どもに関する施策の実施に当たっては、次条の基本理念の実現を図る観点から、必要に応じて施策の対象とする範囲を定めるものとする
  3. 基本理念)子どもは大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であるとの認識の下、子どもの権利条約の精神に則り、子どもを権利の主体として尊重し、子どもの最善の利益を最優先とする事で、全ての子どもが、今と将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていける様、社会全体で子どもを育む環境を整備していかなければならない
  4. こどもの権利)都は、子どもの権利条約を踏まえ、子どもの生きる権利、育つ権利、守られる権利及び参加する権利を始めとした、子どもの権利を尊重し、擁護する為の施策を推進するものとする
  5. 子どもに優しい東京の実現)都は、社会全体で子どもを育み、子どもに優しい東京を実現する為、子どもの目線に立った施策を率先して推進するものとする
  6. 子どもの安全安心の確保)都は、子どもを犯罪、事故その他の危害から守る為、子どもの安全と安心の確保に必要な施策を推進するものとする
  7. 子どもの遊び場、居場所づくり)都は、子どもが伸び伸びと健やかに育つ事ができる様、特別区及び市町村と連携して、子どもが過ごしやすい遊び場や居場所づくり等、環境の整備を図るものとする
  8. 子どもの学び、成長への支援)都は、子どもの学ぶ意欲や学ぶ権利を尊重し、子どもの可能性を最大限に伸ばす事ができる様、一人ひとりの個性に着目し、自立性や主体性を育む為に必要な環境の整備を図ると共に、子どもに寄り添った肌理(キメ)細かな支援に取組むものとする
  9. 子育て家庭、子どもに寄り添った多面的支援)都は、様々な不安や悩みに直面する子育て家庭を支援する為、特別な支援や配慮を要する子ども及び社会的養育を必要とする子どもへの施策を始め多様な子育てと働き方の為の環境の整備、専門的な相談、情報提供その他の状況に応じた適切な取組み等、多面的な支援に努めるものとする
  10. 子どもの意見表明と施策への反映)都は、子どもを権利の主体として尊重し、子どもが社会の一員として意見を表明する事ができ、且つ、その意見が施策に適切に反映される様、環境の整備を図るものとする
  11. 子どもの参加の促進)都は、子どもが社会の一員として尊重され、年齢及び一人ひとりの発達段階に応じ、学校や地域社会等に参加する事ができる様、必要な環境の整備を図るものとする
  12. 子どもの権利の広報・啓発)都は、子どもの権利及び利益の尊重に関する広報その他の啓発を推進するものとする
  13. 子どもからの相談への対応)都は、子どもの不安や悩みを解消できる様、子どもからの相談に対応する体制の充実並びに家庭、学校、地域社会及び関係機関等との連携強化に努めるものとする
  14. 子どもの権利擁護)都は、子どもの健やかな成長を支援する為、権利侵害その他の不利益を受けた場合等において、専門的知見に基づいて適切且つ迅速に子どもの救済を図る事ができる様、国、区市町村その他の関係機関と連携し、社会状況の変化に応じ、子どもの権利及び利益を擁護する為の体制の充実その他の必要な措置を講ずるものとする
  15. 子どもに関する計画の策定)都は、子どもに関する計画を策定するに当たっては、第三条の基本理念に則るものとする
  16. 子ども施策を総合的に推進する体制の整備)都は、子どもに関する施策を総合的に推進する為、必要な体制を整備するものとする
  17. 財政上の措置)都は、子どもに関する施策を総合的に推進する為、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする

0コメント

  • 1000 / 1000