「対日直接投資」を十年で四十兆円から八十兆円へ|経済財政運営と改革の基本方針二〇二一(仮)

【ビジネス・経済報道】 菅内閣は、令和三年五月二十五日の第七回「経済財政諮問会議(議長:菅義偉)」にて「経済財政運営と改革の基本方針二〇二一(仮)」の骨子案を示した。本方針は六月に策定予定。


会議の中で、西村康稔(壬寅)内閣府特命担当大臣(経済財政政策)兼経済再生担当大臣は『対日直接投資促進の為の中長期戦略の検討状況』を提出した。「対日直接投資」残高を令和二年の四十兆円から十年後に倍額の八十兆円にする新目標(KPI)だ。新目標の八十兆円もマイルストーンに過ぎず、「将来的には可能な限り、更なる高みを目指す。」と野心的。


国際ビジネスにおいて、日本政府の最大の仕事は対日投資を増やす事。国民の所得が増えるからだ。


現行の目標であった平成二十四年時から倍額の三十五兆円(令和二年まで)は達成済み。事実、菅総理(戊子)は官房長官時代よりインバウンド等を強力に後押し。報道現在ではIR(統合型リゾート、MICE施設やモール等)誘致に積極的。


新目標(KPI):「対日直接投資」残高を令和十二年に八十兆円(現行四十兆円を倍増)、GDP比で十二㌫を目指す。



以下のABC政策により、倍額実現を図る。

A.デジタル・グリーンの新市場の創造とイノベ生態系(エコシステム)の構築

  1. 最先端半導体等の戦略産業分野において、デジタル関連投資等を促進し、強靭且つ持続的なサプライチェーンを構築
  2. 令和三十二年のカーボン ニュートラル実現に向け、グリーン基金(二兆円)も活用しつつ、我が国へのグリーン投資を加速
  3. 令和七年までに、大学を中核とするイノベ生態系の拠点都市を八都市で構築
  4. 我が国のオープンで魅力的なビジネス・投資環境等のメッセージを世界に発信(今夏「Japanビジネス カンファレンス」開催等)



B.グローバルな環境変化に対応したビジネス環境の整備の加速

  1. 国際金融都市構想の推進とコーポレート ガバナンス改革の推進(六月にコーポレート ガバナンス コード改訂)
  2. 外国人のビジネス生活環境の改善(令和七年までに外国語対応可能な医療機関の整備を一千ヶ所以上)、外国人児童への日本語指導環境の整備(令和四年までに必要とする全児童生徒が日本語指導を受けられる)等
  3. 法人設立手続のオンライン化・英語化等の促進(登記申請・在留申請等のオンライン化、令和七年までの一千の法令を外国語化等)
  4. グローバル人材の確保・育成(令和七年度末までに留学生国内就職率の五割達成等)



C.地域の強みを活かした官民連携による投資環境の整備

  1. 地域への投資推進体制の強化(自治体・経済団体・地銀・VC・投資専門家等から成る「直接投資ブロック会議」の創設)
  2. 外国企業の視点で地域の投資誘致戦略の磨き上げ、JETROが専門家の配置等を通じて支援する地域ブランディング強化事業の展開
  3. 海外企業招聘による国内の大学・企業・自治体等のマッチングを複数年に亘り支援する地域投資カンファレンス事業の強化
  4. 令和七年までの百程度のスマートシティの実装、国家戦略特区等を通じたテレワークを含めた地域のデジタル環境整備
  5. IRの整備等を通じたMICEビジネスや地域観光資源を活用した訪日外国人事業等の促進税関手続における電子ゲート導入

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