九州経済連合会が新体制へ、『九州将来ビジョン 二〇三〇』で若者・若手を招聘

【経済報道】 令和三年六月七日に九州経済連合会は、定時総会と理事会を開いた。「西日本鉄道」倉富純男(癸巳)代取が新会長に就任。前・会長の「麻生」麻生泰(丙戌)代取は名誉会長に就く。


本年で創立六十周年の九経連は、五月十日に『九州将来ビジョン 二〇三〇』を発表していた。倉富体制で本ビジョンに取組む。令和十二年の九州(福岡・熊本・鹿児島・宮崎・大分・長崎・佐賀・沖縄)のありたい姿を描き、その実現へのアクションプランを示した。


 コンセプトは、共生・共感・共創アイランド九州~成長と心の豊かさを共に~。「新たな時代の成長エンジン(所得向上と雇用拡大、全国水準超えのGDP実現)」「心の豊かさを成長に繋ぐ幸せコミュニティ(選ばれる九州)」「自立型広域連携アイランド(先進国一ヶ国に匹敵する人口と経済規模をもつ九州の強化)」の三軸と野心的だ。


今後三年毎の中期事業計画(計三計画)とKPIを定め、「九州から日本を動かす」気概で具体的な行動と実績を示す。以下が、九州の新たな価値創出を促す「十の課題」。


  1. 日本を動かすリーディング産業の育成・誘致
  2. カーボン ニュートラルを先導するエネルギ環境の整備
  3. 生産性向上と新たな価値を生み出す九州イノベーション エコシステムの構築
  4. 地理的優位性を活かしたアジアとのシームレス化
  5. 新たな時代を担う教育・人材育成
  6. 暮らしやすさ(QoL)と新たな価値の創出
  7. 共助社会を実現するダイバシティ・インクルージョン コミュニティ形成
  8. 「成長エンジン」と「幸せコミュニティ」を支えるインフラ整備
  9. 分散型社会の一翼を担う自立型広域経済圏モデルの構築
  10. 安心安全を確保する防災レジリエンス・バックアップ機能強化

<九州圏vs関西圏vs中京圏vs首都圏>

 九州のGDPは六十兆円程度。東京都は百十兆円程度。九州は都の半分程度で、今回の九州将来ビジョンにより、東京都を追う。愛知県及び大阪府は四十兆円程度。


アジア諸地域に近い地理的優位性と諸地域との緊密関係の保有が、九州の圧倒的なビジネス上の強み。併せて首都圏・中京圏・関西圏と比べ、未来の圏内地域連携性が高い。本ビジョンでも「自立型広域経済圏」の構築を図り、他圏を突き放す気概だ。


日本を動かすリーディング産業には農林水産、観光、国際金融(TEAM福岡)。ESG投資の環境整備や「九州AIビックデータ コンソーシアム」の創設、「幸せコミュニティ指標」の開発等を挙げる。


以下が、令和五年までの主なKPI。

  1. 令和五年ツール・ド・九州(仮)の開催
  2. 九州の港から一次産品・食品輸出額を一千八百億円
  3. 「九州AIビックデータ コンソーシアム」の創設
  4. 「幸せコミュニティ指標」の開発・浸透
  5. VC投資額二百億円
  6. 新たな広域連携の枠組み策定
  7. 九州とRCEPとの貿易額六.四兆円



成功の鍵は人口に占める『若手率(十八歳~四十四歳)』。若手が多ければ多い程、イノベーションを実現し易いだろう。九州の核・福岡県の若手率は三割程度で、愛知県・大阪府と変わらない。東京都は四割と一つ抜きん出ている。


令和時代は間違いなく若者・若手の争奪戦である。ビジネスや子育ての環境を整え、上手くPRし、若者・若手を魅了したエリアが躍進する。詰まり、中堅・シニアの器の大きさがモノを言う。「九州圏vs関西圏vs中京圏vs首都圏」の四強時代は既に始まっており、ハイムの各種報道により、九州はかなり先手を打っている。各圏の核となる知事を見れば、分かる。

政治は欠かせない。


記事:金剛正臣

画像:九州将来ビジョン2030/九州経済連合会

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