三十代からの「ゆとり世代」の生き方;生活費

【人生・金融考察】 FPの存在意義はクライアントの人生設計に尽きる。


クライアントへライフ プランニングを説明する際に欠かせないのが、「簿記」の知識。左・借方と右・貸方。簿記の知識なくば、人生八十年・百年を生き抜く事は適わない。


簿記は「BS(貸借対照表)」「PL(損益計算書)」「CF(現金流量計算書)」を作り、自身の金にまつわる真実を与えてくれる。家計簿では駄目だ。過去及び現在の「資産・負債」「収入・費用」「現預金の増減」から自身の未来を創っていく。簿記会計による人生設計。


これが絶対。自身が「何をしたいのか」は常に二の次。先立つものが無くば、何も出来ないのが人生。プライドややる気、モチベーションの類も三の次以降。


この簿記会計による人生設計が根底に無い者は、崩れる。



<三大費用を圧縮>

 ゆとり世代はボーナスであった二十代が終わり、三十代に入っている、ないし入る。八十年・百年を生き抜く為に何を今からするか。簿記会計で考える。自身の簿記を付けていけば、何の費用(勘定科目)が最大かが分かる。収入(売上・給与)は簡単に上向かないので、当然、費用を圧縮する。費用は「固定費」と「変動費」に分かれる。


収入が一定程度であった場合(年間の上昇率が十㌫未満)は、費用を極限にまで圧縮し、利益を生み出す。その利益から資産形成」の為の投資を毎月行う。収入が八十歳・百歳まで毎年十㌫以上も上昇し続けるイメージは、流石に無いだろう。


ならば、大方のゆとり世代にとって投資こそが、第二の柱・安定収入となる。



A「住居費」

 三十代から本気で始める為に、利益の最大化を図る。もう無駄遣いはしない。金を産むモノにのみ、自身の大切な金(虎の子)を投じる。大方のゆとり世代の最大固定費は住居費(家賃や住宅ローン)」。以前は収入の三分の一迄であったが、令和時代の住居費は収入の四分の一(四半)を上限とする。月収二十万円なら五万円、月収五十万円なら十二.五万円。月収百万円なら二十五万円まで。


現在の住居費から四半上限にした場合、年間で幾らの利益を出す事ができるだろうか。十年後にも住居費は掛かる。その「差分×十年」をワンセットとすると、しっかりと資産形成(債権・株券)に金を投じれる。これは月収が上がるに連れて住居費を上げずに、住居費を低月収時の水準で固定する分だけ、差分が投資できる事を意味する。


既に住宅ローンを組んで、ローン返済額が四半上限を超えているならば失敗と見做す。即、売却手続きに入り、現金化する。債務の圧縮。


ローンを組んで数年以内ならば、市場価値は然程、落ちてない。米国ならまだしも日本において購入したマンション等が、購入時よりも市場における資産価値が上がる事は大変に稀。ギャンブル性が高すぎる。日米で調べれば簡単に分かる。よって即売り、現金化する。失敗なのだから、損切りをする。


東京等の都市でも四半上限の家はかなりある。中心部から離れる。プライドよりも利益重視。低い住宅費が未来を形成する。特に現在、畳の家は安いもの。



B「食費」

 次は変動費の食費」。エンゲル係数(食費/総費用)。このエンゲル係数で二十㌫を超えてはならない。利益の最大化ならば、十㌫を目指す。二十㌫という数字は年収一千万円以上の者の数値(総務省統計局)。月収二十万なら二万円未満/月、五十万円なら五万円未満/月、百万円なら十万円を目指す。投資性の「接待・交際費」は含まない。収入に繋がらない、金を産まない「接待・交際費」は全て食費。


これも住居費に同じ、月収増で食費を増やさない。投資性の「接待・交際費」に回す。


十㌫を狙うならパンの選択肢は無い。基本は米。食が控え目な分、運動(ラン・バイク・スウィム等)で免疫力の強化を図る。七十代以上の「焼け跡世代」を見れば分かる通り、当時の食糧事情は地獄。栄養は常に足りないが、活動力という免疫力向上の結果、今に至る。免疫力の向上は「栄養摂取<運動」と知る。

ご褒美は自身の資産を溶かす。



C「嗜好品費」

 最後は変動費のC「嗜好品費」。見渡す限り、ゆとり世代や脱ゆとり世代は、収入に対する嗜好品比率が他の世代よりも高いものと推察する。この嗜好品はタバコ・酒が一般的だが、「被服費」「美容費」「ゲーム費」を圧縮する。収入に直結するものは、必要経費ないし投資なので除く。


金を産まない洋服やバックは買わない。金を産まない美容関係にも金を使わない。金を産まないゲームにも一銭も投じない。洋服やバックは全て中古。美容関係も極限まで削る。金を掛けてゲームをするくらいならば、経営学の本を買って読む。本はゲームよりも安い。




<搾り取られる分の利益を資産へ変える>

 さて、まるで苦行であるだろうが、ここまで極限に三大費用を圧縮すると、毎月幾ら利益が出るだろうか。その利益が未来の自身へ投資できる原資。確(シッカ)りとした資産を形成できる。黒字・現金潤沢な企業は基本的に、こういった事を日常で行っている。利益が大きいからゆとりが出る。


先輩の氷河期世代は、既に多くが資産形成に失敗している。中・長期的に収入に見合わない家に住み、ローンを支払えずに強制退去・競売。“子育て”という免罪符で、収入に見合わない「食費」「嗜好品費」「養育費(高級ベビーカー等)」に散財。リカレント教育を怠り、収入獲得の保険が無い。


何故(ナニユエ)に、ここまで苦行なのか。若者・若手に対する政治が失敗し続けたから。一方、ゆとりあるシニアは多い。上図は昨年の全国平均。若者・若手は政治に参加し、社会を変える努力を怠った。今も苦しい氷河期世代は、漸(ヨウヤ)く一部が気付き始めた。政治が決める税金はコストであり、政治が決める政策は収入増のチャンスであると。


三大出費を圧縮する為に、ここまでしなければ少ない収入からの資産形成はできない。それが人生百年時代。現実である。資産の無い未来は憐れ。この生き方が嫌なのであれば、起業が王道。十万円から収入そのものを増し、パーセンテージはそのままに使える費用を増やす。利益は資産へ投資する。

日々勉強し、多く失敗した後に成功した者しか貧しい己に勝てない。



そして、高所得者も含めて八十㌫ちかくのゆとり世代が資産形成に失敗するだろう。


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