若者が気にする共産・志位委員長の政治論|創立九十九周年記念

【政治報道】 日本共産党(委員長:志位和夫)は、令和三年八月四日に東京・千駄ヶ谷の党本部にて『創立九十九周年記念講演会』を開催した。九十分間に亘って志位委員長(甲午)は、野党共闘が新たな次元に入っている点に触れ、熱弁を奮った。


講演後に志位委員長は、世界の共産党が保守政党と協力する事例はあまり無く、「ユニークな取組み」と表現した。この保守政党とは立憲民主党(代表:枝野幸男)の事。枝野代表(甲辰)は近著「枝野ビジョン/文藝春秋」にて保守とは何かを説き、前・安倍内閣を「むしろ『革新』に近い。」と指摘。「分厚い中間層を取り戻す事を目指す。」としている。

自公連立政権は、中道右派と中道左派の連立。


六日には「AERA.dot/朝日新聞出版」が、ポスト菅義偉(戊子)総理について大穴の総理候補者(主要以外)のアンケートを公表。首位は枝野代表。次点は安倍晋三(甲午)前・総理。そして四位に志位委員長が総理候補として票が集まっていた。



<新自由主義は終わりに>

 講演では先ず始めに安倍・菅両内閣のコロナ対策に致命的な欠陥があったと指摘。「世界最大のスポーツイベントの開催をパンデミックの最中に、しかも開催都市の東京で緊急事態宣言が出され、感染が急増している最中に強行するというのは、科学を無視し、命を蔑(ナイガシ)ろにした歴史的愚行ではないでしょうか。」と訴えた。志位委員長が指摘した以下の三点は、百合子都政の方が当てはまる。


  1. 科学を無視する政治姿勢
  2. 国民に説明せず、聞く耳も持たず、専ら強権に頼る事
  3. コロナ対策にまで「自己責任」論を持ち込んだ事



二つ目に、共産党は日本の政治の歪(ユガ)みの根本にメスを入れる“変革の党”である旨を強調。平成十三年の小泉内閣から強化したとされる「新自由主義」を「ルール無き資本主義」と揶揄。この新自由主義で較差が拡大した事は事実。志位委員長は、平成バブル崩壊時より新自由主義が跋扈と主張。「皆さん。新自由主義はもう終わりにしようではありませんか。」と問い掛けた。


またジョセフ バイデン(壬午)米統領の四月「施政方針演説」を挙げ、主張が共産党と一致する点を伝えた。他方、不平等な『日米安保条約』につき、廃棄の流れを強める事も訴えた。三つ目に、米中関係に触れた。



社会主義革命に在らず

 四つ目に、社会変革を述べた。「日本社会について言えば、今必要とされる変革は“社会主義革命”ではなく、財界中心・米国言い成りという二つの政治の歪みを根本から糺(タダ)す民主主義革命です。これが私達の綱領の大方針であります。」と力を込めた。


この革命という言葉につき、「尚、革命と言っても恐ろしい話では決してありません。私達は、世の中の仕組みを大本から変えるという意味で、この言葉を使っています。しかも、過去の世界史の様々革命とは違って、選挙で多数を得て進める事を明確にしています。一部に、共産党は革命政党だと言って“恐ろしい政党”だと印象付け様とする攻撃がありますが、これは全く成り立つものではありません。大体、革命という言葉は、例えば“産業革命”、“科学技術革命”と言う様に普通に使われているではありませんか。」と説明した。


平成二十八年から志位・共産党は共闘を始めている。先の『都議選』では本格的な立産同盟を結び、その効果を発揮。若者・若手が街頭演説にて興味を抱いてた。


保守政党との協調関係にある現況につき、「一九六〇年代から七〇年代の統一戦線は、国政レベルでも地方レベルでも、革新勢力の統一戦線でした。これに対して、今日の市民と野党の共闘は、広大な保守の人々と日本共産党を含む共闘として発展しています。その質という点でも、全く新しい特徴をもっており、世界にも他に例がないユニークなものです。自民党政治が、最早まともな“保守政治”とは言えない。反動と逆行を特徴とするものへと堕落する下で、こうした広大な共闘が可能になっている事も新しい特徴であります。」と喜んだ。




<ソ連・中国とは異なる>

 最後の五つ目に、「資本主義を乗り越える未来社会。社会主義・共産主義社会を目指す党だと言う事であります。」と世界の社会主義トレンドを謳う。但し、「潰れてしまった旧ソ連や現在の中国の様な自由も人権も民主主義もない社会、他国への覇権を奮う体制ではありません。」と中国共産党(総書記:習近平)を否定している。


マルクス経済学の本質を発見したゆとり世代・「大阪市大」斎藤幸平(丁卯)准教授の「人新世の『資本論』/集英社」からも若者・若手の社会主義志向は読み取れる。三十万部超。七月に共産党が監修した「新版 資本論/新日本出版社」も全十二冊で完結したばかり。政党が新翻訳・編集する事は稀有。十六年も掛けた。


そして「資本主義の下で、人民の闘いによって勝ち取った、自由と民主主義の制度、生活と権利を守るルール、人間の豊かな個性等、価値ある成果を全て引継ぎ、豊かに発展させ、花開かせる社会。労働時間を抜本的に短くする事によって、全ての人間が自分の持っている能力を自由に、全面的に発展させる事のできる社会。これが私達の目指す社会主義・共産主義社会であります。」と締め括った。


資本主義が第一フェーズならば、社会主義は第二フェーズ。共産主義は第三フェーズの経済システムとなる。斎藤准教授は、第三フェーズを「コミュニズム」とした。



比較

 尚、左派・左翼は「国民(nation,a body politic)」を国家権力・政府に縛られる民として忌避する。戦前の大日本帝国では天皇の国の民「臣民(subject)」としていた。「人民(people)」とは、エイブラハム リンカーン(己巳)第十六代米統領「人民の、人民による、人民の為の政治を地上から決して絶滅させない為に、我々ここで固く決意する事である。/ゲティスバーグ演説」の通り、大英帝国からの独立戦争(革命)を背景とする言葉。

そもそも米国は、存在自体が中道左派と言える。


日本の公明党も中道左派で社会主義。公明党自体は「人間主義」「地球民族主義」と綱領で謳う。然しながら、社会主義の方向性(政策)としては、共産党が真正である。新選組(代表:山本太郎)は、左翼のテロ組織「中核派」の最高指導者・清水丈夫(丁丑)議長が選挙応援に駆け付ける等の様に革命派。共産党の民主主義・天皇共生とは異なる。


左翼ではない真正・左派の共産党と保守政党が組み続ければ、選挙で自公が敗ける可能性が高くなってくる。利益至上主義を嫌う若者・若手の社会主義派(無党派層)達が動けば、即、政権交代と成り得る。何よりも『憲法』を共産党の国会議員がよく学んでいる、と長年の取材から判断できる。


数多の上から目線より、自公は未だ若者・若手の無党派層から支持されてない。志位委員長は上ではなく、“横からのスタイル”だ。


記事:金剛正臣

画像:日本共産党

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