【政治報道】 令和三年九月三日に河野太郎(癸卯)行改担当大臣が、十七日に告示予定の自民『総裁選』へ立候補する意向の報道が各社から流れた。同日に菅義偉(戊子)内閣総理大臣が立候補しない旨を表明した。
河野大臣は同日に「私自身、どうするか。先輩、或いは仲間の議員とじっくり相談をし、また関係の皆さんと色々相談をしながら、決めて参りたいと思っております。」と記者団へ述べており、立候補を明言しなかった。所属派閥は自民・第二派閥「志公会(麻生派)」。文学士/米ジョージタウン大。
ただ、八月二十七日に新著「日本を前に進める/PHP新書」を刊行したばかり。二百二十一頁。Amazonではカテゴリ「内閣」で一位(報道現在)。安保外交・防災・エネルギ革命・社会保障・教育・デジタル化について綴った。有力候補とされる岸田文雄(丁酉)元・外務大臣の「岸田ビジョン/講談社」とは異なり、経済政策は主眼ではなかった。
<外交防衛>
名目・実質GDPでは世界第二位の中国だが、購買力平価(PPP)GDPでは既に世界第一位の中国。毎年の軍事費は日本の四倍の二十兆円。この差を埋めようとするのは「財政の制約を考えれば、現実的ではありません。」との見地。近い未来、中国は名目・実質GDPでも米国を抜くと予測されている。
日米同盟は維持・強化。軍事面だけでなく、経済面も協力関係を密にする必要性を説く。具体的には日米を軸に欧加豪、シンガポール等との経済連携を目論む。併せて日本の「戦略的自立性」の維持・強化と「戦略的不可欠性」の獲得を挙げた。前者は国の基盤(技術等)を他国に委ねない事。後者は長期的・持続的な繁栄と国家安保を確保する事。
更に日米同盟に加えた「同盟組織」も提唱。自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の発展型。第二次・日英同盟(新・日英同盟)も含まれているものと推察す。
日本の外交力の弱さ
外交に関して「ポストコロナの世界は、残念ながら対立の時代に入ると覚悟しておいた方が良いでしょう。」と語る。日本の外交力の足腰を鍛える為に、外務省の求人力・育成力を上げたい。同時に「外務大臣が外交できる」体制づくりも行いたい。トップセールス(日本自体のマーケティング・プロモーション)の事だ。
比較対象は中・王毅(ワンイー、癸巳)外交部長。外務大臣に当たる。平成二十五年から務めており、この八年間の中国驀進は王部長にあったと言っても過言ではない程に、マーケティング・プロモーション(外交)が上手い。報道府も取材した。
問題は国会答弁。中国の外交部長は年一回の「全人代」へ出席に対し、日本の外務大臣は各委員会から出席を求められれば出席、ないし陪席。質問がなくとも出席と無駄が多く、日本のマーケティング・プロモーション活動に時間を外務大臣が使えない点を指摘している。併せて、外務大臣が商用機の乗り継いでいる為、専用機も求めた。
<社会保障>
「総合診療医」や積極的な医療コスト削減を挙げ、「人口が減少し、高齢化が進む日本では、社会保障制度の抜本改革が遅れれば遅れる程、後の世代に付けが回される事になります。」と政治と国民へ社会保障の議論を投げ掛けた。その際に国民の分かり易さを求めた。
歳出「社会保障関係費/国家予算」の内、甚大に増えて続けている費用科目はシニアの『医療費』。消費税が十㌫まで上がった直接の理由だ。
具体的には、医療・年金等の保険料による富の再配分(制度間の財政調整等)の中止・廃止。原則、所得再配分は税金、保険料は給付金。保険料が納付不可な世帯へは、税で直接支援。収める保険料は「あくまで自分の為」と言い放った。現在は、現役世代二人で一人のシニアを養っている。
更に、国民共通の医療保険制度を提案した。
「もはや高齢者だから弱者である、という時代ではありません。」と年齢に関係なく、個人の収入に応じた保険料の納付を求める。そして「病気にならない努力を続けて」と健康増進を怠る者を注視し、医療コスト削減地域へのインセンティブを提案した。
年金制度は現行・賦課方式から積立方式へ戻したい。昭和六十年から現行・賦課方式。
<教育>
親の所得に無関係な公的教育環境を整えたい。希望する全学生への出世払い「卒業後 所得連動型 拠出金制度」やデータ・効果測定を重視した教育施策、英語教育、リカレント教育、職業教育の充実、「職業訓練切符(バウチャ)」、習熟度別教育等を挙げた。
<経済>
経済という章は本書に無いが、第八章・デジタルに今後の日本経済において最重要なポイントを河野大臣は指し示した。
「労働分配率を一定以上に引き上げた企業については、法人税の優遇税率の適用を認めるべきです。」
労働分配率は賃金上昇。賃金上昇はインフレ率と連関。インフレ率二㌫を目指す日銀にとっても重大要素。適度なインフレが経済成長を促す。併せて、全国一律の最低賃金の引き上げも訴えた。
首都圏の一極集中も是正したい。企業の地方分散の為に、移転企業ないし首都圏以外の企業へ軽減税率。
総裁選の投開票は二十九日。
記事:金剛正臣
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