舞台「野良女」公開稽古で原作・宮木あや子がアラサ女子へのキャッチフレーズ

【芸能報道】 平成二十九年三月二十四日に東京・錦糸町にて、四月五日から公演を開始する舞台「野良女/東映ビデオ」の公開稽古が報道陣向けに行われた。原作は、映画化された「花宵道中」や女優・石原さとみ(丙寅)の主演で高視聴率を叩き出したTVドラマ「校閲ガール」の宮木あや子(丙辰)。


舞台演出を手掛けるアラサ・稲葉賀恵(写真上)の細やかな指導の下で平均年齢三十.六歳のアラサ女優五名が体当たりで稽古に臨んだ。メンバは主演・佐津川 愛美(戊辰)、芹那(乙丑)、沢井美優(丁卯)、深谷美歩(甲子)、菊地美香(癸亥)と池田倫太朗(庚午)。宮木作品としては初の舞台化だ。本作のスタッフにもアラサ女性が集結した。アラサ女性のアラサ女性によるアラサ女性の為の演劇になりそうだ。



<演出・稲葉が原作を更にリアルに近づける>

 演出・稲葉は、同作において五人の女性が想う男性五役を一名の男性キャストで表現する。それぞれの魅せ方は、トルソー(頭や手足のない胴体だけの彫像)を用い、影等で魅せる。五役全て異なる表現方法で観客を唸らせたいと画策した。これにより女性から見た男性像を分けて表現する。また、舞台セットはストリップ劇場をモチーフにした。単なる会話劇ではなく、歌と踊りを交ぜ込み、観客を飽きさせない工夫を凝らす。


囲み取材では主演・佐津川(写真下)を始め、プレゼン力の高い沢井がインタビュに答えた。アラサの良さを問われた沢井は、「経験値。無くした物も多いし、得る物も多い。狭間に居るなって。その経験値が露になる年で、私はそれをプラスに魅力にしていきたいと思いました。」と、アラサを前向きに捉えていた。



後半は赤裸々

 現代に合わせ、SNSで周囲の情報を知り得る時代。リアルタイムに情報が入ってくる世の中ならではの苦悩がある。理想と現実の狭間で行き来するアラサ女子の内なる心情を描写するのが本作だ。菊池は「前半は楽しくポップになっていて、後半は赤裸々な所も。闘ってる私達を見て欲しいので、何かしらメッセージを届けられたらと思います。」と述べた。アラサ女子の体当たり演技が共感と快感を齎すだろう。


原作・宮木自らが稽古場に訪れ、本作のキャッチフレーズを命名した。「強そうに見える女ほど弱いとか、弱そうに見える女ほど強いとか、そういうの、マジ、どうでもいいんですけど」と、尖った感性を披露した。最後に主演・佐津川は「出来たものが、どんどん人間味がある物になっているので、元気を貰える作品になっていると思います。ぜひ見に来てください。」と締め括った。

四月五日から九日の全八公演。新宿シアターサンモールにて。


=あらすじ=

いつものように行きつけの大衆居酒屋に集まり、5人の女子会が開かれる。

鑓水と横山は派遣社員。朝日は親のコネで社長秘書、桶川は生保の営業。壺井だけが正社員として働いている。とはいえ、元々資産家令嬢である朝日を除いて収入も生活レベルも似た者同士である。


5人が集まり、出て来る話は『25歳を過ぎれば普通は結婚できるものだと思っていたのに、なぜ、自分はできないのか・・・』という事。Facebookを見ると、地元に残った友達は、とっくに結婚して子供も産んでいるようだ。それなら、自分たちが結婚できない理由は東京に住んでいるからなのか?


酔っ払った女たちの会話は、流れを無視して、すぐ別の話題に変わる。次は仕事の話だ。唯一の正社員である壺井だが、納期と上司と取引先に振り回され、白髪が出始めたと焦りだしている。結果、転職活動を始めだした。

横山は、仕事の話には興味がなく、不倫関係を続ける男性が、本当に離婚して自分と結婚をしてくれるのか、そこにしか関心がない。

大学時代にミスコン三連覇という輝かしい実績がある朝日は、モテ続けて余裕がある。

桶川は、どちらかというと皆の聞き役に徹している。しかし、なぜか眼帯をしている。


そこに1人の男性が入ってきた。実は今日の女子会には隠されたテーマがあった。鑓水が会社の喫煙室で出会った年下の男性(鈴木大輔)。自分から誘い出す勇気もなく、彼が行きつけという店で待ち伏せしていたのだ。

鑓水は、可愛らしい容姿にもかかわらず、何故か2年間彼氏がいない。つまり、2年間男性と行為に至っていない。鈴木に好感を持ち、どうしても鈴木と・・・・・ヤリたいと思っているのだ。


5人は結束。あっという間に、鈴木を酔い潰し、彼女がいないという事を聞き出し、好みのタイプも聞き出し、そっと店を出て、鑓水と鈴木を2人きりに。

2年ぶりにヤリたくて仕方がない鑓水は、自分も酔ったフリをして鈴木の部屋に行く。しかし、朝日が飲ませすぎたのか酔いつぶれた鈴木は寝てしまい、何度起こしても目を覚まさない。鑓水は鈴木のネクタイを外し、ズボンを下ろし、無理矢理に滋養強壮ドリンクを飲ませ・・・それでも鈴木は起きない。鑓水は強硬手段に。


50代の社長とアメリカンクラブで出会った外国人と二股をかけ、お金持ちが好きな朝日。しかし、合コンに出会った無骨な年下の職人に夢中になってしまう。そこに、厳しく自己を見つめ直す起因となる事を知らずに・・・。


壺井は転職活動がうまくいかない。海外で働きたいという野望もありながら、祖母の紹介で見合いをする事になる。しかし、うまくいかず・・・。次なる目標が定まらない。占いに行く事を決める。


桶川の彼氏はDVがとまらない。横山は桶川のアザを見て、それは幸せなのかと問い詰めるが、馬耳東風そのもの。それでも、桶川には桶川なりの譲れないプライドがあるようだ。


横山は不倫関係に悩み続ける。不倫相手の嫁から電話がかかってきて、自己が追い込み始めた。仲間たちは横山の窮地を察して不倫関係の解消を説得するが、横山は「この先、わたしのことを誰か好きになってくれる人がいると思う?」とざめざめと泣きだし、皆は言葉を失った。


鑓水は、鈴木との関係が深まり始めた。しかし、体調に変化があり・・・

闘い続け、もがき続け、とにかく一生懸命であり続ける5人。その宿命はいずこに・・・?


原作:野良女 宮木あや子/著

主催:舞台「野良女製作委員会」(東映ビデオ株式会社・イープラス)

撮影記事:岡本早百合

0コメント

  • 1000 / 1000